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「絵本」がシニアに人気!絵本選びをサポート
「目白のえほんや にこにこ書店」
店主の岩田亜紀さんに聞く
読者の中には、ボランティアで子どもに絵本の読み聞かせをしている方もいるのではないだろうか。逆に、日ごろ絵本に触れる機会のない人は、絵本は子どものためのものと思っていることが多いかもしれない。東京にある『目白のえほんやにこにこ書店』(東京都新宿区)は、店主の岩田亜紀さんが絵本選びをサポートしてくれる書店だ。赤ちゃんからシニアまでさまざまな世代の人たちに楽しんでもらえる街の絵本屋でありたいという岩田さんに、シニアに向けた絵本のお話をうかがった。
贈る側も贈られる側もワクワクする一冊を
ここ数年、シニアを対象にした絵本の朗読会や読書会があちこちで開催されている。今、絵本は年齢、性別を問わず愛されるものとなった。
『目白のえほんやにこにこ書店』(以下『にこにこ書店』)の特徴は、絵本選びをサポートしていること、そしてシニアのお客が多いことだ。
店主・岩田亜紀さんは、数々のお客のリクエストに応えてきた。
「シニアのお客さまの多くは、お孫さんやお知り合いのお子さまへ、ご出産やお誕生日、クリスマス、入園入学のお祝いなどに絵本を、と求めていらっしゃいます。おもちゃや洋服では好みがわからなく、『絵本ならきっと喜んでもらえると思って』というお話しをよくうかがいますね」
岩田さんは、贈る方も贈られる方も嬉しくてワクワクするような一冊を提案したいという。
「お孫さんに贈り、『とても喜んでくれた!』とわざわざお電話をくださったり、写真や動画を見せに立ち寄ってくださるお客さまもいらっしゃるんですよ」
「目白のえほんや にこにこ書店」店内
絵本を贈ることは自分の想いを届ける楽しさ
ほかにも、
「不登校の孫を励ます一冊を教えてほしい」
「コロナで人と話すことがなく、心がキューッとしてしまうので、元気になれる絵本を選んでほしい」
「テレビばかり見ている毎日に疲れる。きれいな絵の絵本がほしい」
といった女性からの依頼があったことも。
また、男性からは
「体調を崩しがちな妻に毎月一冊元気になれる絵本を送ってほしい」
という相談があった。
「お孫さんからこんな優しいご依頼もありました。『認知症で施設にいるおばあちゃんに東京の地名や景色が描かれた絵本を贈りたい。行ったことのある場所や知っている場所を思い出しながら楽しめるものを選んでほしい』というものです」
そして、シニアが絵本を読むことについての思いをこう語る。
「自分が我が子と親しんだ絵本を、時を経てお孫さんやボランティア先の子どもたちと一緒に楽しめるなんてとても素敵な世界だなと思います。同時に絵本を贈るということは、絵本そのものの楽しさと一緒に自分の想いを届けるということ。素晴らしいですね」
「読み聞かせ」の魅力とは?
子どもと楽しめる素敵な世界
今、絵本の読み聞かせのボランティアをする人や、朗読会や読書会をするシニアが増えている。特に読み聞かせは自分ひとりでは成り立たない世界で、相手があって初めてその楽しさを感じられるものだ。
「待っている子どもたちに何を届けようかと考える時間、絵本を選ぶ時間、同じ空間で絵本を読んでいる時間、そのすべてが相手を想う時間です。読み聞かせる側も子どもたちも、その楽しさを一緒に分かち合うことが読み聞かせの魅力」
これが岩田さんの読み聞かせの印象だ。
また、読み聞かせや朗読会などの活動を通し、仲間作りができるのはもちろん、絵本が間にあることで互いの心の距離が縮まると岩田さんは言う。
絵本には、私たちが知らない魅力がまだまだありそうだ。家にいる時間が多い中、一度絵本を手に取ってみてはいかがだろうか。
◆岩田亜紀さんおすすめの絵本◆
『とんでいったふうせんは』
(ジェリー・オリベロス:文/ダナ・ウルエコッテ:絵/絵本塾出版)
老いや病気を題材にした絵本。ふうせんの行く先の小さな光と温かな眼差しに静かに癒される一冊。
『これはのみのぴこ』
(谷川俊太郎: 作/和田誠: 絵/サンリード)
ページをめくる度に言葉がどんどん増えていき、おしまいには長い言葉につながっていくユーモアいっぱいの絵本。
『おおきなキャンドル馬車にのせ』
(たむらしげる: 作/偕成社)
希望いっぱいの子どもたちの存在そのものをお祝いする視点で描かれたとても素敵な一冊。
■『目白のえほんや にこにこ書店』
お客とのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりにあった絵本を選び提案している。店内イベント『シニアのための朝絵本の会』なども開催予定。
http://www.nikoniko-books.com/
電話03―3565―6232
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