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2020年09月01日

戦争体験者や遺族の高齢化、戦争体験の風化が加速…新たな伝承の動きに期待

戦後75年の節目。戦争体験者やその遺族が高齢化し、次世代に伝えるべき戦争体験の風化が加速している。

いま、各地の戦争・歴史資料館の閉鎖、海外の戦没者慰霊碑の撤去が相次いでいると、NHK「クローズアップ現代+」(7月30日放送)が伝えている。戦争に関する展示企画を行った施設へのアンケートで、回答した138施設の60%が「維持管理に課題がある」と答えている。具体的には、施設の老朽化、運営費が不足、語り部などの高齢化などが挙げられている。

また、1945年、フィリピン・レイテ島で戦死した戦友の御霊を慰霊する碑を現地に建てた松本實さん(99歳)は、参拝するのはもう自分一人だけになり、昨年12月に自ら現地に赴き慰霊碑を撤去した。
「次の世代になったら戦争のことは忘れられてしまうだろう」
と語る。この3年間で海外にある27の慰霊碑が撤去されているという。

戦争体験、記憶を次世代にどう引き継ぐのか。番組で「東京大空襲・資料センター」の館長・吉田裕さん(一橋大名誉教授)は、
「兵士の体験記・従軍日誌などを収集管理し展示伝承することは、本来なら国がやるべきことで、民間が代行してきた」
という。そして
「若い人たちが、単なる戦争の時代の知識を学ぶだけではなく、そこを生きてきた人たちに対する共感、状況に対する想像力を培っていくことが重要」
と語る。

戦争体験を伝承する施設が失われていく一方、コロナ禍のためオンラインを通して戦争体験を語る試みが、多くの若い人たちの反響を呼んでいる。新たな伝承の動きが広がればと期待したい。(老友新聞社)

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