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尿素はかかと以外はNG!?保湿外用剤の正しい使い方/冬の肌荒れ(2)
前の記事「肌がガサガサ・白い粉を吹いている人は要注意。肌荒れを放置しないで/冬の肌荒れ(1)」はこちら。
破綻したバリア機能は 保湿外用剤で守る
皮膚のバリア機能は、(1)皮脂膜(脂の膜)、(2)角質層の細胞と細胞の間にある角層間脂質(脂質の結合物質)、(3)天然保湿因子(角質層にあるアミノ酸など)の三つで成り立っています。皮脂欠乏症は、この三つの働きが弱くなるものです。
「皮膚の水分は、いわば皮膚の表面の脂でふたをされているような状態で保たれています。皮脂欠乏症で三つのバリアが破綻すると、皮膚の水分はどんどん蒸発し、乾燥すると同時に刺激に弱い状態になるのです。少しの刺激でも炎症を起こしてかゆくなり、その炎症が広がりやすいので注意が必要です」と石地先生は警鐘を鳴らします。
バリアがなくて無防備な皮膚は、手洗いのせっけんでも炎症につながります。衣類の化学繊維がこすれるだけでも、赤くかゆみを帯びるようになるのです。そんなお肌を守るには、保湿が欠かせません。皮膚の表面で失われた油分を保湿外用剤で補うことが必要になります。代表的 なのは「ワセリン」「へパリン類似物質(ヘパリノイド)」「疑似セラミド」「尿素」。これらの成分の保湿剤は、薬局、ドラッグストアなどで入手可能なものもあります。
また、オリーブオイルや椿油など、お肌に使用できる油もよいそうです。においや使い心地も好みがあるので、ご自身に合ったものを選ぶようにしましょう。
「尿素は、角質層を溶かして滑らかにする作用があるため、足のかかとなど角質層が硬い部分には向いていますが、角質層が軟かいところは刺激が強過ぎるので避けた方がよいでしょう」
海外ではピーナッツオイルを塗った赤ちゃんが、ピーナッツアレルギーを起こした事例もあるそうです。ピーナッツはアレルゲンになることがあり、全身にたっぷり塗っているとアレルギー症状につながるそうです。全身に塗る保湿外用剤は、アレルギーを起こしにくいものを使うことも大切です。まず手や腕などで使用してみて、かゆみなどが生じないものを選ぶように心がけましょう。
皮膚の構造
皮膚は表皮と真皮で成り立ち、真皮には毛細血管や汗を出す汗腺など皮膚の重要な組織が あります。それを守るのが表皮。表皮が破綻すると感染症にもなりやすくなります。
健康な皮膚と荒れた皮膚
健康な皮膚は、表皮の表面が皮脂膜で覆われることで外部からの刺激や細菌などをブロックします。皮脂膜が破綻すると、外部の刺激がダイレクトに肌の組織に伝わり、感染症やアレルギー症状につながりやすいのです。
石地尚興(いしじ・たかおき)先生
いしじ・たかおき 東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科診療副部長。同大学教授。1984年京都府立医科大学卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本性感染症学会認定医。患者に分かりやすいスキンケア指導でも定評がある。
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