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「大腸がん」は早期発見が大切!市区町村の「大腸がん検診」で十分なの?
厚生労働省が2014年に発表した人口動態統計によると、大腸がんは日本人がかかるがんのうち最も罹患数が多く、毎年約13万人にも及んでいる。また死亡者数も年間5万人と、肺がんに次いで多く、さらに年々増加し続けている。しかしこの大腸がんは「予防できるがん」とも言われているがんで、しっかりと検査をすれば防げる、あるいは罹患したとしても早期発見であれば治すこともできるものなのだ。今回は大腸がんについて、その予防法や検査の方法などについてまとめてお伝えしよう。
まず市区町村検診を受ける
初期は自覚症状がない
年々罹患者数、死亡者数が増え続けている大腸がん。罹患者数を年齢別にみてみると、40歳代から増え始め、60歳代で急激に増加、そして70歳代でピークとなっている。死亡者数も年々増加しており、決して侮ることができないがんである。
しかしこれは、大腸がんは初期の段階では自覚症状が現れにくいため、がんが発見された時にはすでにがんが進行してしまっていることが多いためだ。逆に、大腸がんは早期の段階で発見することができれば、高い確率で治癒させることができる。そのため、定期的な検査が重要となるのだ。
便潜血検査で出血の有無を確認
陽性なら精密検査を
では、大腸がんの検査方法についてお伝えしよう。大腸がんの検査は、まず市区町村で行われている大腸がん検診を受診することが最も一般的で簡便な方法である。年齢によっては、年に1回補助を受けて受診することができるため、自己負担額は無料、あるいは低額で受診可能、その場合は受診に関する案内が郵送されてくるケースが多い。受診条件などはお住まいの市区町村の役所のホームページなどで記載されていることが多いので、一度調べてみていただきたい。
大腸がん検診で行われる検査は、便を採取して調べる便潜血反応検査である。この検査は簡単に低コストで行うことができるのが特徴で、少量の便を採取して、その中に血液が混ざっていないかを調べる検査である。検査の結果、陽性になった場合には、便の中に血液が混ざっていることであるが、それが大腸がんであることに直結するわけではない。
便の中に血液が混ざる要因は様々考えられる。もちろん、大腸がんで出血している可能性もあるが、それ以外にも大腸ポリープ、憩室炎、痔などでも出血する場合があるためだ。とくに便潜血検査陽性のうち大部分は、便を出す際に肛門が切れてしまうことによって出血したというケースである。逆に、便潜血検査で陰性の結果となっても、それだけで安心することはできない。出血を伴わない大腸がんもあるためだ。
つまり、市区町村が行っている大腸がん検診の便潜血検査は、陽性であってもがんであるとはかぎらない。陰性であってもがんではないとは言い切れないもの。あくまでも、がんである可能性を調べる、ふるいわけの検査であるということを理解しておかなければならない。そこでおすすめなのは、まず便潜血検査を毎年行い、陽性になったら必ず精密検査を行うこと。そして陰性であっても、数年に一度は精密検査を受けるようにすることである。
大腸内視鏡検査で腸内の病変を調べる
切除可能なポリープは施術
では次に、大腸がん検査における精密検査として、大腸内視鏡検査をご紹介する。
大腸内視鏡検査は、肛門からチューブ上のカメラを挿入し、モニターに映し出される映像を見ながら検査を進めるもの。実際に腸内の映像を観察することができるので、早期の大腸がんや、便潜血検査で見逃された病変でも発見することができる。また検査中に、大腸内にポリープと呼ばれる腫瘍が見つかった場合、その場で切除することが可能なのも特徴だ。
はじめて大腸内視鏡を行うケースでは、およそ40%の方にポリープが発見されるという。このポリープの時点で切除をしてしまえば、将来的に大腸がんを発症する確率を半分ほどに減少させることが可能である。すべての人に大腸内視鏡検査を行うことができれば、大腸がんの罹患者数や死亡者数を劇的に減らすことも可能であるが、検査には時間とコストもかかるため、現在のところ現実的な手段ではない。そのため、大腸内視鏡検査を受けるべき人をふるい分けするための便潜血検査も必要なのだ。
大腸内視鏡検査というと、受診するのにしり込みをしてしまうかもしれない。そこで今回はどのような流れで検査を行うか、代表的な例を紹介しよう。
検査時間は約15分
下剤を服用し腸内を綺麗に
まず検査の前に、医師の事前診察や説明を受ける。この時に、感染症がないかを調べるための血液検査を行ったり、検査の日程を決定したり、検査当日の食事制限などの説明も受けることになる。
検査日が近づいたら脂っこい食事や激しい運動を避ける。検査前日の夕食は消化のよいものを、決められた時間までに食べ、水分を多めにとるようにする。そしてそれ以降は検査終了まで水分以外のものを口にすることは禁止となる。
検査当日は下剤を服用し、お腹の中のものをすべて綺麗に出さなければならない。1.5~2リットルほどの下剤を何回かに分けて服用し、その間水も飲み、何度も排便することになる。
検査施設では、検査着に着替えてベッドに横になり、鎮静剤を使用してリラックスした状態で検査を受けることになる。検査時間は15分ほどだが、その場で切除可能なポリープが発見された場合には施術を行うことになるので多少時間は前後する。終了後は鎮静剤の効果が切れるまで安静にし、検査終了となる。
大腸内視鏡検査は、下剤を飲むのが大変、肛門から器具を挿入するのが辛い、女性の場合、恥ずかしさもあるために検査を敬遠される方も少なくないだろう。だが、先にも述べたように大腸がんは早期発見さえ出来ればほとんどが完治できる病気である。大腸がんで命を落とすという不幸を無くすためにも、まずは大腸がん検診の受診と、定期的な大腸内視鏡検査の受診をおすすめする。(老友新聞社)
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