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2016年05月15日

大人のぬり絵が人気【脳活性化にも有効】

誰でも楽しめる「田中式育脳ゆび塗り絵」

専用型紙を使ってパステルを指で塗り描く

脳の活性化が期待できるというレクリエーションにぬり絵がある。近頃は大人向けのぬり絵本が多数発行されており、中には非常に細かい絵柄のアーテスティックな物も人気を博している。しかし、絵に自信のない人は難しいと抵抗感を抱くのではないか。そんな人に是非試してもらいたいのが、パステルを用いる『田中式育脳ゆび塗り絵』だ。ワークショップに参加した人たちは、大きな満足感を得られている様子が伝わってくる。

パステルを使って描くパステル画は淡い色合いのやわらかい絵が特徴だ。フリーハンドで描いたり、型紙を利用して描くこともある。型紙を使うことでぬり絵のような楽しさを体験することもできる。しかし、そこには多少の手間があった。『田中式育脳ゆび塗り絵』は日本福祉パステルアート協会の代表・田中亜希さんによって開発された。臨床検査技師の田中さんはデイサービスでレクリエーションのイベント担当の経験もある。「型紙は下絵を書き、それをカッターで切り取って作成します。高齢者や子ども、絵が苦手な人にとっては大きな負担です。参加者が20~30名のイベントを行ったとき、私自身が型紙を作成しました。苦労しながら何時間もかけて完成した手作りの型紙は簡単な形のものしかできず、お世辞にもきれいとはいえないものでした」

田中さんは型紙を作る手間を解消し、誰でも気軽に楽しめるようにしたいと考えた。そして、
「完成した作品を見て、自分自身がいちばん驚き、感動するような機会を提供したいと考えていました」
と言う。そこで建築CAD技術を応用して図案をデータ化し、生まれたのがアート専用型紙『パステンシル』だ。

「ワークショップで皆さんの話を聞くと、デッサンが苦手だという人がほとんどです。パステンシルを使うと絵に対する苦手意識が取り除かれ、色で自由に遊ぶことができます。また、同じ型紙を使っても、できあがった作品には個々のオリジナリティがあります。そのため完成したときの達成感も、予想以上に大きいようです。過去のワークショップで『これならできる』と言ったお子さんの言葉が印象的ですね」

童心に返り夢中に

ワークショップに参加した高齢者からは「『自分の直感で色を塗り、自分の心がこんなにカラフルに表現できるんだ』と、感動した。素敵な体験をすることができた」「童心に返り夢中で色を塗った。塗り終わり、パステンシルをはがして絵を確認するときのドキドキ感も楽しい。誰にでもできるが、同時に仕上りに個性が出るのもおもしろい」という声が聞かれるそうだ。

パステンシルの他、パステルやパステルの削り網、マスキングテープなどがセットになった『はじめての育脳ゆびぬり絵セット』(3480円)は通販で購入できる。
パステルなどの用具を文房具店などで揃え、パステンシルと併せて使ってもよいそうだ。

自由な発想、遊び心も
ステップ踏み心のストレッチ

最後に、田中さんにパステルアートを楽しむ際のコツを聞いた。
「特に難しいルールはありません。パステルを指に薄めにつけて、塗り足していくことできれいに仕上がります。また、2、3色使い、ひとつの形の中でグラデーションをつけると絵のレベルが一段と上がりますよ。型の縁までしっかり色を塗ることで輪郭がはっきりします。パステンシルを紙に固定すると絵柄がずれず、描きやすいですね」
また、田中さんは描き始める前に、紙いっぱいに手で自由に色を塗ってみること勧めている。

「指で塗ること自体が初めての人が多いので、まずその感覚を知り、慣れてください。好きな色を選び、好きなように手を動かしているうちに、失敗を恐れる気持ちがなくなり、冒険心や遊び心が生まれてきます。このステップを踏むことで「心のストレッチ」ができ、『これはおもしろい』という遊び心のスイッチが入ります。そして、自由な発想が加速し始めるのです」

指で描くという新しい体験、ひとつの絵を完成させた達成感、思った以上に上手に描けた喜び、これらの感覚を得られるゆび塗り絵を描いてみてはいかがだろうか。友人同士で楽しむと、またパステルアートの世界が広がるだろう。

 

日本福祉パステルアート協会HP:http://www.fukushipastelart.com/

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