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高齢者の「眠りのはなし」
高齢になると若いときのように熟睡できないというのは多くの方が経験するところだと思います。それ自体は自然な加齢変化ですので気にしすぎる必要はありませんが、眠れないことで日中の生活に支障が出るようだと良くありません。健康でいきいきした生活を送るために、眠りは大切です。睡眠不足や睡眠の質の低下は心血管系の病気、転倒による骨折、認知症などのリスクを高めます。免疫力が低下し、風邪もひきやすくなります。集中力が低下する、情緒が不安定になるなどの影響もあります。若年者の睡眠の問題は睡眠不足に起因することが多いのですが、高齢者はちょっとしたことで睡眠が妨げられやすく、睡眠の質が特に問題となります。
光・音・温湿度などの環境、酒・たばこ・カフェインや薬の作用、日中の運動や知的活動、痛みや痒みなどの身体的なもの、ストレスや悩みごとなどの心理的なもの、といった様々な要因が睡眠に影響を及ぼします。そのため、より良い睡眠をとるための方法もいろいろとあり、様々な研究や商品開発がされています。パラマウントベッドは主に医療介護用ベッドを製造販売する企業ということもあり高齢者を対象とした研究を多く行なっています。ベッドと睡眠の関係だけでなく、マットレスや枕などの寝具と睡眠の関係、睡眠や呼吸数・心拍数の測定ができるシート型体振動計の開発、シート型体振動計を用いた睡眠改善といったことについて研究しています。これから4回に分けて、このような私たちの得意とする分野の睡眠に関する話をお届けします。尚、ベッドはフレームとマットレスの2つに分けられますが、フレームをベッド、マットレスをマットレスと呼ぶことにします。1回目は睡眠とマットレス・枕の関係についてです。
1. 睡眠とマットレス・枕
睡眠中に身体を支えるマットレス、頭と首を支える枕は睡眠に大きな影響を及ぼす道具であると広く考えられているようです。そのため多種多様な商品が販売されています。これまでの研究結果から、マットレスと枕については、寝返りしやすさと寝心地の良さが睡眠にとって重要と考えられます。若年者の場合、どんなマットレスや枕でも眠れるという人も多いかもしれませんが、睡眠が妨げられやすい高齢者では特に重要になってきます。寝返りしやすさは睡眠中の動きやすさと言ったほうが良いかもしれません。朝まで1度も寝返りすることなく熟睡できた、寝返りばかりで眠れなかった、などの表現から連想されるように「睡眠中は寝返りしないほうが良い」と考えている人が多いかもしれません。しかし、実際には寝返りをしないで眠るということはまず不可能と考えられます。寝返りには、行動性体温調節や血液循環パターンの変化を促す役割があるからです。同じ姿勢でじっとしていると寝具と接触している部分が温まりすぎて暑くて目が覚めてしまいます。ときどき寝返りをして温まっていない場所に移動し、身体の周りの空気を入れ替えて体温調節をしています。このような体温調節を専門用語では行動性体温調節と言います。また、同じ姿勢でじっとしていると寝具と接触している部分などの血流が悪くなってしまいます。ときどき寝返りをして寝具からの圧力を解放し、寝姿勢を変えて身体にかかる重力の方向を変え血液循環パターンの変化を促すことも寝返りすることでしかできません。しかし、困ったことに寝返りするときは一時的に眠りが浅くなっているため、寝返りしにくいマットレス・枕では寝返り時に目が覚めてしまう確率が上がると考えられます。朝まで1度も寝返りすることなく熟睡できたというのは、本当に寝返りをしなかったのではなく、目が覚めることなく寝返りできたということだと考えられます。寝返りしやすさの重要性は、やわらかすぎて寝返りしにくいマットレスや幅の狭いベッドで眠れない経験をしたことがある人であれば実感しやすいと思います。寝心地については、特に寝つくときの姿勢での寝心地が重要で、寝つきの姿勢での寝心地がより良く感じるマットレスにおいて良く眠れることが研究によって明らかになっています。
マットレスと枕を選ぶときは、寝返りしやすく寝つきの姿勢での寝心地が良いと感じるものを選ぶことをおすすめします。体型や筋力など個人差があるので、かたさなどの物理的特性だけでなく、使用する本人が寝返りしやすく寝心地が良いと感じるかどうかが重要です。一般的には、かたすぎずやわらかすぎない適度な弾力性のあるものが寝返りしやすいです。マットレスがかたすぎると寝返りしたときの痛みなどの刺激で、やわらかすぎると寝返りするのに力が必要となり、目が覚めやすくなると考えられます。寝心地は好みの要素もありますが、寝返りしやすさと同様にかたすぎずやわらかすぎない適度な弾力性のものが寝心地も良いと感じる人が多いようです。やわらか過ぎるマットレスでは、お尻などの重い部分が落ち込み姿勢が崩れて寝心地が悪くなってしまいます。かたすぎるマットレスでは、痛くて寝心地が悪く、同じ姿勢を維持するのに適していないため不要な寝返りが増えて睡眠の質が低下すると考えられます。昔ながらの布団は弾力性がないため、触るとやわらかいように感じますが、寝ると体の重い部分が床に底づいてかたい寝具となります。
マットレスなどの寝具に関しては、科学的に十分に検証されていない知識が広まっていることもあります。典型的な例が「腰痛には硬いマットレスが良い」というものです。これを支持する研究結果は見当たらず、逆にこれに反する研究結果が報告されています。かたいマットレスよりも中くらいのかたさのマットレスを使用したほうが腰痛の改善した人が多かったというものです。睡眠と腰痛には双方向性の関係があり、眠れないことが腰痛の原因にもなります。この研究では残念なことに睡眠に関して調査をしていなかったのですが、中くらいのかたさのマットレスのほうが寝返りしやすく寝心地が良いため、よく眠れていた可能性が高く、よく眠れたことによって腰痛の改善効果が高かったと考えられます。
皆さんがお使いのマットレスは寝返りしやすく寝心地が良いでしょうか?
(パラマウントベッド睡眠研究所 木暮貴政)
寝返りのしやすさを実現した独自の等反発技術に、「水の流動性」をプラス。身体のカタチ、重さ、寝姿勢は、人それぞれに違うものであり、水が身体の凸部分~凹部分に流れ込むことで、全身をしっかりと支えます。さらに、仰向け・横向き、どんな姿勢でも水が一緒に動き、ぴったりとフィットします。だれの身体でも、どんな動きでも、人を選ばず、マットレスから身体に合わせてくれる。これが新発想のマットレス、「スマートスリープ アクア」です。
・どんな寝返りも受けとめる、幅広サイズの枕。
スマート フィット ピローの大きさやカタチには、すべて意味があります。寝返りをしても、常に枕が頭を支えられる「80cmの幅広」サイズ。寝返りをさまたげず、頭をすべるように転がせる「フラット形状」など、多くの方の人体寸法データを分析し、つくり上げられた独自の枕です。
・仰向け、横向き、どちらもやさしく支えます。
スマート フィット ピローは、仰向け、横向きどちらの寝姿勢にもフィットする枕です。枕全体の高さは横向き姿勢に合わせているため、仰向けの際は「ショルダーサポート」が首から肩をきちんと支え、高さをカバーします。
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