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2024年12月02日

進む人口減少・多文化社会の難しさ~西尾幹二さんの憂い

評論家の西尾幹二さんが老衰のため89歳で亡くなった。約35年前の1980年代後半に、テレビの討論番組で、外国人の単純労働者の導入に慎重論を唱え孤軍奮闘する姿が焼き付いている。

西尾さんは、外国人労働者を日本の労働力に組み込めば、日本人が避けるきつい仕事を押しつけることで「分断社会」が生じ、さらに言語・宗教・日常習慣の違いから摩擦が起きることを懸念した。目先の経済合理性から災いを背負うことになりかねないと、警句を発したのだ。これに対し大勢を占めていたのは「発展途上国の雇用を助けるのは先進国の責務だ」「国際化で文化の多様性が深まる」という多くの知識人たちの声だった。

翻って今日、アメリカでは自国第一主義を唱えるトランプ氏が次期大統領に当選、強制送還も辞さない移民対策強硬派を要職に据えるという報道もある。また、ヨーロッパでは2015年に大量の移民流入が起こり、排斥・規制強化を訴える政党が議席数を伸ばすなど、排外主義が台頭し、多民族共生社会・多文化社会の難しさを目の当たりにした。結果として、西尾さんの主張を裏付ける状況となった。

一方、日本では、承知の通り急速に進む少子高齢化・人口減少社会に直面。幅広い業種・職種での外国人労働者への依存は避けられない見通しだ。日本で働く外国人労働者数は2023年、初めて200万人を突破(厚労省)。過去10年で約3倍になっている。

「西尾幹二さんの憂い」は近い将来、日本でも現実的なものになるのか。

 

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