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2024年09月06日

熱中症の予防と「暑さ指数」

連日暑い日が続いている。日本の夏の暑さは年々厳しさを増しているように感じられるが、熱中症による死亡者数も増加傾向にある。もっとも顕著であった2010年のデータでは、熱中症で亡くなられた1745人のうち、80%は65歳以上の高齢者だったという。今月は熱中症の予防法について、また予防に関して重要となる「暑さ指数(WBGT)」について詳しくお伝えしよう。

熱中症 3つの要因

熱中症の予防と聞くと、気温の高さについてのみ注意をしていないだろうか。実は熱中症になる原因は気温の高さだけではなく、湿度や日射、熱のこもり具合など様々な要因が絡み合っているものなのだ。
熱中症を引き起こす要因として「環境」と「体」と「行動」の3つが挙げられ、それぞれいくつかの要素がある。

要因1「環境」
環境要因は、気温の高さや湿度の高さ、風が吹いていないなどが関連している。日影がない、日差しが強い場所や、室内であっても窓が締め切られてエアコンもない場所にいると熱中症の危険性が高まる。また、これまで涼しかったのに急に気温が上昇した日などは、同じ気温であっても熱中症になりやすい。

要因2「体」
身体の状態についても熱中症のなりやすさに関係していることがある。たとえば二日酔い状態の日などは熱中症になりやすいと言われる。またインフルエンザに罹っていたり、下痢の状態が続いている時などは体内の水分量が減少して脱水状態になっているため要注意。そして高齢者や乳幼児、肥満の人や糖尿病など持病のある人、低栄養状態の人も熱中症になりやすい。

要因3「行動」
激しい運動や体を使った作業、長時間の屋外での運動や行動などが熱中症を引き起こしやすくなる。

以上3つの要因が重なり合うことでより熱中症になりやすくなるので、気温の高さだけにとらわれないようにすることが重要だ。

「暑さ指数」とは?

熱中症を予防するには「暑さ指数」というものも知っておいてほしい。これは熱中症を予防するためにアメリカで考案されたもので、数値の単位は気温と同じ「度」を用いるが、気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標であり、気温よりも的確に熱中症への危険度を知ることが出来る。

この暑さ指数は環境省の「熱中症予防情報サイト」で、毎年5月~10月頃まで予測値と実測値が公表されている。ご自分の住む地域の暑さ指数を確認してみるとよい。そして「日常生活における熱中症予防指針」の表を掲載するので、この表のWBGT値と「注意すべき生活行動の目安」、「注意事項」を見比べて、熱中症予防の指針にしていただきたい。

熱中症予防のポイント

では、熱中症を予防するためのポイントをお伝えしよう。

まず暑さを避けること。最近では室内でも熱中症になる高齢者が後を絶たない。室内の温度を確認し、28度を超えたらエアコンを利用する。とくに高齢者の場合には、暑さに対する感覚が鈍っている事があるため、「それほど暑くない」と感じていても熱中症になることがあるため、温度計による室温の確認は大切である。

外出をする際には体を締め付けない、風通しの良い涼しい服を着るようにする。汗をよく吸い込み、すぐに乾燥する素材が適切だ。また、本当に暑い日にはできるかぎり日中の外出を控えることも重要である。

次に水分の補給。人は、普通の生活をしているだけで、汗や尿、呼気などから1日に約2.5リットルもの水分を排出している。1日3回食べる食事に含まれる水分がおよそ1リットル程度で、さらに体内で作られる水分が0.3リットル程度。残りの1.2リットルを、飲み水として補給しなければならないのだ。

ただし、アルコールやカフェインを含むお茶やコーヒーなどは利尿作用があり、体内の水分を余計に排泄させてしまうため、熱中症対策あるいは脱水対策には不向きなので注意したい。アルコールやコーヒーなどを飲んだ際には、そのぶん多めに水分を補給すること。
そして栄養バランスの良い食事をとることだ。暑いとつい、冷たいものや口当たりの良い物ばかりを選んで食べてしまう。すると栄養バランスが偏り、体力が落ちて熱中症になりやすくなるのだ。

物価高の今は、電気代を節約するためにエアコンの使用を控える人も少なくないだろう。しかし熱中症はいつ、誰がかかってもおかしくない。外出先でなくとも、室内で起こることもあるので、十分注意してこの猛暑を乗り切っていただきたい。

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