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医療と健康

2021年11月25日

認知症にならないために…正しく知って予防に努めよう

ご存知のように認知症患者の数は年々増加しており、超高齢化社会の日本では深刻な問題となっている。65歳以上の高齢者では5歳年を取る毎に、認知症患者は2倍に増えるといわれ、85歳以上では約3割の人が認知症であるという。認知症になると、本人の問題だけではなく、家族や周囲の人も大変な負担となるうえ、社会的にも様々なトラブルを起こしたり、巻き込まれたりする。今回は読者諸氏に正しい知識を持っていただくために、認知症について改めてまとめてみたので参考にして欲しい。

まずは認知症の問題点から。認知症にかかると、本人のQOL(生活の質)がさがることはもちろん、本人を介護する周囲の人間のQOLも落ちてしまうことになる。暴力的になったり、妄想が激しく、被害妄想が出てきたりもする。たとえば、物を無くしたと妄想し、家中を探し回ったり、あるいは誰かに盗まれたと思い込んでしまい、家族とトラブルになることもあるという。あるいは、友人との約束をすっかり忘れてしまい、トラブルになることもある。ほかにも、真夜中に突然騒ぎはじめてしまい、近隣に迷惑をかけたり、徘徊して家族を心配させたり、警察のお世話になることもある。さらに深刻なのは、火の不始末で火事を起こしてしまったり、本人は大丈夫と思って車の運転をし、事故を起こしてしまうというニュースも耳にするだろう。また、高齢者による万引き事件も、認知症が原因となっている可能性もあるという。

しかし、認知症というのは、全てが分からなくなってしまうものではなく、とくに本人の感情というものはそのまま残っているのが普通であるという。もしも、認知症であることを誰かにバカにされたりすると、本人は自信を失ってしまう。そういうことがないように、家族や周辺地域で、認知症の高齢者を正しく理解し、支えてあげる取り組みが重要となる。

認知症の3つの中核症状

では、認知症を正しく知るうえで、まずはその定義から。認知症とは、一旦正常に発達した知的機能が、自動的に低下していき、社会生活をするのに支障を来す、ということだ。
認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」の大きく二つに分けられる。周辺症状というものは、中核症状から二次的に引き起こされるもので、後に説明することにして、まず中核症状について「記憶障害」「判断力の低下」「見当識障害」の3つの症状が重要とのことなので、一つずつ解説する。

・記憶障害
新しく経験したことを記憶に留めることが困難になる。昔の記憶は良く覚えているが、たとえば今日、誰かから電話があったというようなことを一切忘れてしまう。なにか、ヒントのような物を与えたときに、そういえば……と思い出すのであれば、それは単なる物忘れである。認知症における記憶障害は、ヒントを与えても思い出せず、こういった事象が丸々、完全に抜けてしまう。

・判断力の低下
色々なことを計画したり、判断を下したりすることが出来なくなる。たとえば老人会などで、いつも先頭に立って物事を決断したり、旅行の計画を立てていた人が、突然出来なくなったりする。

・見当識障害
今日が何月何日なのか、季節が何なのか、ここは何処なのかが答えられなくなる。つまり時間や、場所、そういうものに対する認識がなくなってしまうものだ。

認知症の「周辺症状」

「周辺症状」というのは、中核症状が原因で、何か失敗などをしてしまい、不安が生じたり、抑鬱状態になったり、眠れなくなったり、被害妄想を持ったりすること。実はこれが厄介な症状であり、症状が進行すると体調が悪くなって熱が出たり、転倒を招いたりもするそうだ。環境の変化や、周囲の人間の不適切な介護などにより、この周辺症状が引き起こされるという。

 

認知層の治療と予防

認知症の中には、治療可能な認知症もあるため、早期発見、早期治療が重要となる。アルツハイマー型の認知症でも、今はアリセプトという薬を早期に飲めば、症状の進行を防ぐことが出来るという。また、認知症の高齢者を持つ家族も、介護に疲れてしまう事があるだろう。その結果、本人に冷たく当たってしまうという事も有り得るので、介護保険を使い、様々なサービスを使うと良い。昼間、デイサービスを利用すれば、その間家族は休む事が出来るだろう。余裕を持って介護体制を整えるという意味でも、早期発見が大切だ。
また、認知症は最初から症状が悪くなるわけではないので、初期のうちは判断力が残っていることが多くあるという。そういう場合に、判断力が残っているうちに、財産の問題などをそうするか決めておく。あるいは、成年後見制度というもあり、後見人として信頼のおける人を指名しておくなど、出来るときにやっておくということが大事だということだ。

最後に、認知症の予防について。実は認知症の予防というものは、生活習慣病の対策と同じであるものが多い。高血圧の人と、そうでない人でない人を比較すると、高血圧の人の方がアルツハイマーになる確率が高いという。さらに、糖尿病の人と、そうでない人を比較しても、やはり糖尿病の人の方がアルツハイマーになりやすいのだそうだ。そのため、まずは生活習慣病にならないようにすることだ。
そのためには、栄養と運動が大事となる。肉よりも魚類。そして緑黄色野菜を摂ること。運動はウォーキングが良い。そして体以外にも、脳と心をよく使う事が大切なのだそうだ。それにはとにかく、楽しく生きること。閉じこもりは良くない。仲間と一緒に行動するというのも重要との事だ。デイケアセンターなどに通い、仲間と交流して、カラオケを楽しむとか、ゲームをしたりすることも非常に大事である。
趣味を持つ事も良く、旅行や料理をする、お花をやったり、絵を描いたり、園芸をしたり、もちろん学習も良いとされている。他にも、ボランティア活動も良いそうで、誰かの役に立っているという気持ちも、自身に繋がるだろう。

認知症は本人の問題だけではない。かかりつけの医師はもちろんだが、家族や介護をする立場の人、そして地域住民の方々など、皆が協力をしてケアをし、本人が決して社会ののけ者などにならないよう、安心して生活できる環境作りをすることが重要だ。

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