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医療と健康

2021年10月27日

「めまい」のあれこれ

めまいに悩まされている人は実に多いようで、とくに高齢者は、めまいによる転倒も危険であり、注意が必要だ。繰り返しめまい発作を起こしているのに、しばらく安静にしていれば治るため、つい医者に行かずに我慢してしまう人も多いと思われるが、適切な治療を行えば長年の苦しみから解放されるかもしれないのだ。
今回は様々なめまいの症状とその原因、治療法について紹介をするので、めまいに悩んでいる人は、自分はどのタイプのめまいなのか、判断をする参考にして欲しい。

めまいの症状を引き起こす病気というものは非常に沢山の種類がある。原因も様々で、耳にまつわる病気や、脳にまつわる病気であったり、血圧が関係していたり、あるいは原因が分からないめまいというものもあるそうだ。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症について。寝床につくときや、寝床から起き上がる時、寝返りをする時、あるいは靴ひもを結ぶなど、前かがみになった時、急に振り向いた時などに、強い回転性のめまいに襲われるのが特徴だ。じっとしていると数秒から数十秒でめまいは治まる。

この良性発作性頭位めまい症というのは、耳の中の三半規管に問題があるのだそうだ。三半規管は三つの輪状になった器官で、その中には水が満たされている。その水が、頭を動かした時などに、輪の中を動くことによって「頭が動いた」という感覚が得られる仕組みになっている。しかし、三半規管結石症といって、三半規管の水の中に石が出来てしまうことがある。その石が三半規管の中を揺れ動くと、強烈なめまい発作を起こしてしまうのだ。

治療法は、三半規管に石が出来てしまう病気のため、その石を取り除けばよい。薬物などを使用した治療ではなく、三半規管から石を出すための「体操」を行う治療法もある。

患者はベッドに腰掛け、医師の指導に基づいて、体を右に倒したり、左に倒したりする。そうすると三半規管も傾き、中の石は重力によって転がり、移動をする。石を誘導するように、何回か体を倒していくことで、三半規管の外へ石を転がり落とすのだ。この治療法で、9割くらいの人が治るそうで、翌日には、もうめまいが全く無くなるという。

メニエル病

メニエル病は、月に2~3回のペースでめまいの発作を繰り返すことが多い。めまいの始まる2~3時間前には、耳鳴りや、耳の圧迫感を感じることもある。そして、自分の周囲がぐるぐると回転するようなめまいが起こり、横になって休んでいると、だいたい2時間前後でめまいは治まる。すると先ほどの耳鳴りや耳の圧迫感も治るという。このメニエル病は、発作を繰り替えす毎に、だんだんと耳の聞こえが悪くなっていくという。

メニエル病は30代、40代の働き盛りの女性に多い病気で、肉体的、精神的疲労、睡眠不足が発症の引き金になり、患者によっては天気の悪い日や、台風の日など、気圧の低い日に多発する傾向があるという。

治療法は、まずは生活習慣の改善。よく睡眠をとり、ストレスをためないようにする。休みの日には趣味を楽しむようにするなどの指導をするそうだ。

突発性難聴

ある日目覚めると、急に耳が聞こえなくなっていて、起きあがると足下がふらふらする。このような症状だと突発性難聴の疑いが強い。この病気は原因が不明なのだそうだが、患者数は非常に多いという。原因不明ではあるが、治療としてはステロイドホルモン剤がよく効くのだそうだ。

高齢者に多い椎骨脳底動脈循環不全症

そして、高齢者のめまいの原因で一番多いものが椎骨脳底動脈循環不全症だ。これは脳の病気で、症状は、立って歩いたりするとめまいが起きる。それと同時に、目が少し霞む、あるいは唇が痺れる感じがするという特徴がある。座っている時や、寝ている時などは、めまいは全く感じない。

これは、めまい中枢のある脳幹への血流が悪くなることで起きるめまいである。歳をとると、心臓も少し弱くなり、血管の中も、狭い部分や広い部分など様々で、動脈硬化を起こしている場所も多くなる。このように血流が悪い状態だと、立ち上がった瞬間などに、脳幹へ行く血液が減少してしまい、めまいが起こるというわけだ。

治療としては、脳の血液の循環を改善する薬を使用する。効き目は非常に良いそうだ。他にも、高血圧や、糖尿病などを患っていると、血管がボロボロになっていることがあるので、こういったものをきちんと治療することも必要だ。

前庭神経炎

症状としては、めまい発作の起こる2~3日前から、ふらふらとする感覚があり、そして突然、立てなくなるほどの強烈なめまい発作を起こす。これが前庭神経炎という病気で、めまいの持続時間が長いのが特徴。治るのにも時間がかかるという。

前庭神経炎は、片側の三半規管が麻痺してしまう病気で、その原因は現在もつかめていないという。

治療は、めまいが治まった頃に投薬治療をするのだが、それよりも重要なのはリハビリだ。眼を動かすことから始まり、頭を動かす、体を動かす、そして歩行と、だんだんと難しくしていく。

心因性めまい

最後に、心因性めまいについて。内耳や脳などには、めまいを起こすような病気は一切ないが、心理的な要因だけでめまいを起こしてしまう。特徴としては、普通めまいというのは、じっとしている時には楽で、体を動かすと辛くなるのだが、全く逆で、体を動かしている時が軽くなり、緊張感が高まる時、たとえば職場に向かう際など、そういうときにめまいが悪化する。また、めまい以外にも、手足の痺れ、耳鳴り、頭痛、下痢など、様々な症状を訴える。

通常のめまいの治療では全く良くならず、抗不安薬、抗うつ薬を用いることで劇的に良くなるそうだ。

これら以外にも、脳梗塞が原因となって起こる、危険なめまいもある。めまいの症状以外にも、顔面の麻痺、ろれつが回らない、体の片側の感覚に異常があるなどの場合には脳梗塞、脳溢血が疑われるので、早急に医師に診てもらう必要がある。

めまいに悩まされている読者の方は、今回紹介しためまいの中に、自分に当てはまるものはあっただろうか。長年悩まされていためまいでも、適切な治療を行えば解消することもあるので、一度医師に相談してみてはいかがだろうか。

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