医療と健康
増える高齢者の鬱…幸福感を保つコツ
超高齢化が進む日本において、高齢者の「鬱病」も増えている。せっかく長生きをするのならば幸福感を感じていたいもの。そこで高齢期特有の鬱にならずに、幸福感を保つコツを紹介しよう。
高齢になると身体能力が大きく低下してしまい、要支援、要介護状態となる方もぐんと増えるが、一方で心の問題というものも大きい。
高齢者の鬱病患者数は年々増えている。もちろん高齢者の数が増加しているというのも要因の一つだが、それ以外にも社会的な要因、経済的な要因というものも大きく影響を与えている。高齢者は鬱病に陥りやすい様々な要因を抱えているのだ。
鬱病の代表的な9つの症状を紹介するので、当てはまるものが無いかご自身でチェックして欲しい。
代表的なうつ病の症状
「抑鬱気分(気持ちが沈み込んでいる状態)」
「食欲減退」
「興味や喜びの喪失」
「睡眠障害」
「精神・運動の制止または焦燥(話しかけられても答えられない、動作が遅いなど)」
「気力の低下」
「思考力の低下」
「強い罪責感」
「自殺願望」
の9つだ。
こうした症状が2週間以上、ほとんど一日中続いているという人は、鬱病の可能性があるという。
若い世代も含め、鬱病になってしまう多くの原因は、何らかのストレスが続いた場合と、さらにその人が持っている特有の要因、社会的要因などが加わるためだ。
高齢者の場合、老化自体も鬱を招きやすくし、さらに「喪失体験」というものも大きな原因となるのだ。
「喪失体験」というのはどんなものか。一番多いのが「健康を失う」こと。
若い頃には病気一つしなかったという人でも、年を重ねるにつれ、様々な病気を背負い込み、健康を失うことになる。
ほかにも「仕事を失う」ということもある。定年退職などで仕事を失う、あるいは家庭の主婦の場合でも、子供達が大きくなり、独立していくことで、「母親としての役割を失って」しまう。
そして最も大きな喪失が「死別」である。配偶者との死別、両親との死別、親しかった友人との死別など、これは高齢者にとって大変深刻な問題なのだ。
その他にも「財産、収入源を失う」といったことも高齢者特有の悩みで、これらも鬱病の原因となる。
「幸福感」を高く保つコツ
しかしながら、これらの「喪失体験」というものは、遅かれ早かれ、高齢者ならば誰にでも降りかかる問題であるはずなのに、全ての高齢者が鬱病にかかるわけではない。その差には「幸福感」というものが関わっている。
幸福感は「自分は幸せだ、幸福だ」と感じる気持ちである。この幸福感を高く保てる人は次のような特徴を持っている。
●ありがたさ、おかげの認知
自分は自分一人で生きているのではなく、他人のおかげで生かされているのだという、他人への感謝の気持ちを持つ。
●内向性
一人でいても寂しくない。一人でいることの良さを沢山知っている人。
●二元論からの脱却
通常、白と黒は全く異なるものだと考えるところを、区別することは難しいと考える傾向のこと。
●自己肯定感、基本的欲求の肯定。
自分や、自分のこれまでの人生が、良いものだという気持ちをもつ。
●宗教的意識
神仏の存在を信じたり、自分の命は、別の何かに生かされているのだという傾向。
●社会的自己からの解放
他人や社会に対して、見栄を張ったり、こだわりを持つことをしなくなる傾向のこと。
●利他性
わがままな自分から脱却し、他人への思いやりの気持ちを持つこと。
●無為自然
無理をせずに、ありのままの自分の状態を受け入れること。
この様な考え方により、「喪失体験」など、高齢期の様々な問題に直面しても、心の強さを保て、鬱を回避することが出来るという。これらをご参考に、明るく元気な日々を過ごしていただければ幸いである。
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