医療と健康
心の「健康」めざそう
少し古い話になりますが、3月は私の誕生月でした。誕生日当日は、家族や病院のスタッフがお祝いの言葉をかけてくれました。誕生日を祝ったり、祝われたりするのは、人間が社会的な存在だからにほかなりません。
「人間は社会的動物である」と述べたのは哲学者アリストテレスです。古代ギリシャの時代から、こうした言葉があったということは、「お互い支え合って生きる」という人間の本質は変わらないということでしょう。
東日本大震災のときも、被災直後から、住民同士の助け合いが見られたことは皆さんの記憶にも新しいと思います。支え合うことは人間の本能であり、社会的な生き物である証です。
体が衰えたお年寄りなどは、人とのつながりで「健康」を感じている場合もあります。私は各地を回ってメンタルヘルスの講演をしていますが、高齢者施設にいる方々に「健康だと思う人は手を挙げてください」と質問すると多くの方が「はい」と自信を持って答えられます。
これは世界保健機構(WHO)の「健康」の定義とも重なるものです。WHOは、「健康」を単に「病気ではないこと」と定義していません。
「身体的健康」「精神的健康」「社会的健康」――の3つが備わっている状態を指すと言っています。「健康だと思う人は手を挙げて」という質問ですが、ビジネスパーソンに尋ねた場合は、ほとんどの人が手を挙げません。身体的に健康でも、精神的疲労のたまる働き方をしているのではないでしょうか。
周囲から認められることは人生において、必要不可欠です。社会の中での役割を意識できるように生きていこうと改めて思った誕生日でした。
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- 山本 晴義 医師
- 心理カウンセラー
日常よくある心の悩みについて、山本先生が解説します。心を健康に保ち、毎日健やかに過ごしましょう!
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