医療と健康
「今」を生きるために有効な「時薬」
皆さんは、自分の力ではどうにもならない状況や、どうにも答えのでない事態に、どのように対処していますか?
現代は、物事には必ず答えがあり、それを早くわかるのができる人、優れた人であると思われがちです。しかし、なんとか解決しなければと頑張っても、世の中は白黒がはっきりつけられることばかりではありません。ましてや、相手があっての問題ならば、答えや解決策を急がず、相手に歩調を合わせながら、ただ時をゆっくり過ごすということも一つの対処法です。
このように、急いで答えを出さず自分なりの答えが現れてくるのを待つ力のことをネガティブ・ケイパビリティといいます。
ちょっと違いますが、私はよく診察の中で、答えを急ぐ患者さんにどんな薬より「『時薬(ときぐすり)』が一番効くことがありますよ」とお話をすることがあります。
時薬とは、時がたつことが薬になるという意味です。時が解決してくれることは、意外と多いものだと皆さんも思い当たるのではないでしょうか。待つことで成功した経験、逆に急いで答えを出して失敗したことなどを思い出していただきたいと思います。
そうはいっても、何もしないでいると不安ばかりが募るかもしれません。そんなときは、人生にはどうしても時間のかかることもあり、かけるしかないこともあると考え、目の前のやらなければならない日常事を淡々とこなすことが大切です。
今やるべきことに集中していると、変えられない過去や、だれにもわからない未来に戸惑わされることは少なくなります。今を生きることができるようになると、不安が減り、自然に待つことができるのかもしれません。
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- 山本 晴義 医師
- 心理カウンセラー
日常よくある心の悩みについて、山本先生が解説します。心を健康に保ち、毎日健やかに過ごしましょう!
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