医療と健康
日本に残る睡眠への無頓着さ
皆さんは日ごろ十分な睡眠をとれているでしょうか?
経済協力開発機構(OECD)の各国平均睡眠時間のデータ(2021年)によると、先進国を中心にした世界33カ国のうち、日本の睡眠時間は最も短い、1日平均7時間22分。2番目に短い韓国と比べても30分近い差です。
厚生労働省が新たにまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、世代を成人と子ども、高齢者の三つに分けています。このうち成人については、推奨する睡眠時間の目安を6時間以上としています。子どもについては、小学生が9時間から12時間、中高生は8時間から10時間確保することを推奨しています。一方、高齢者については、寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保してほしいと述べています。これだけの睡眠時間を確保できている人がどれだけいるでしょうか?
また、成人と高齢者は目覚めたときに体が休まったと感じる「睡眠休養感」が重要としています。これは睡眠時間の長短にかかわらず、これから活動する体の準備が整ったと感じているか、主観を評価したものになります。
世界の中でも睡眠時間が少ないのは、日本人は眠ることを犠牲にして働くことが頑張っている証拠だとされがちで、戦後、睡眠を削り、経済成長と教育のレベルを高めてきたことが睡眠に対する無頓着さに影響しているのではないかといわれています。この意識を変えていくことが日本人の健康を守ることになります。子どもや思春期の大切な時期の睡眠には、保護者や指導者の考え方が大きく影響します。改めてわれわれ大人が睡眠を見直す機会にしていきましょう。
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- 山本 晴義 医師
- 心理カウンセラー
日常よくある心の悩みについて、山本先生が解説します。心を健康に保ち、毎日健やかに過ごしましょう!
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