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医療と健康

2022年05月09日

健康診断で「白血球や血小板の数が少ない」という結果…まさか白血病か。

以前から体が重く、貧血の症状も。

75歳になる男性です。以前から体が重く感じたり、貧血のような症状があったりして、年のためか疲れやすくなったと感じておりました。
しかし、たまたま健康診断を受けて血液検査をしたところ、白血球や血小板の数が少ないという結果でした。
疲れやすかったり、貧血があったりしたのは、年のせいではなく、血液に異常があるためではと思い、不安になりました。白血球に異常があるという事は、白血病も考えられるという事でしょうか。
医師は経過観察をしましょうと話しておりましたが、手遅れになるようなことはないのでしょうか。

答え

定期的な血液検査を。症状悪化なら精密検査も。

今回は、健診で白血球や血小板などの数値が下がっていると指摘された方からのご相談です。すでに医師からは経過観察という指示があったとの事ですが、それでも白血病ではないかとご心配されるお気持ちはお察しいたします。

今回のような場合、それぞれの血球の数値がどの程度下がっていたかが重要な要素になるかと思います。

健康診断では「正常」と判定する値の範囲が決められており、その範囲からわずかに外れる程度の低下であればそれほど心配はないのですが、かなりの低下が認められる場合には、当然しっかりとしたフォローをする必要があります。

特にご高齢の方で、あまりに数値が低い場合は、骨髄異型性症候群という血液の病気も考えられます。健康診断で白血球や血小板、赤血球などの血球の低下を指摘されて発見されることが多い病気で、初期は症状があまり表れません。

骨髄異型性症候群は、骨髄の細胞に異常を生ずることで、造血機能が低下し、採血で血球の数値が徐々に下がっていくことが特徴です。病状が進行すると、貧血の症状が出たり、白血球の減少から感染症にかかり易くなったり、また血小板は血を固める役割があるので、血小板の低下から出血しやすくなることもあります。さらに病状が進行すると、白血病へ移行することもあるので注意が必要です。

診断のためには血液像に加えて、骨髄穿刺を行い骨髄の状態を調べたり、染色体異常の有無を確認したりします。治療法は、白血病へ移行するリスクの違いで異なります。白血病への移行リスクが低く、血球数の低下が軽度、さらに自覚症状もなければ、そのまま経過観察となります。一方、白血病への移行リスクが高い場合や血球数低下が高度な場合には、免疫抑制剤を使った治療を行ったり、ひどい貧血がある場合には輸血を行ったりもします。状態によっては、幹細胞の移植や、白血病に準じた化学療法を行うこともあります。

あなたの場合、貧血のような症状や疲れやすくなるとの事ですが、経過観察という指示が出ていることからも、そこまで数値が悪いという事ではないと思います。それらの症状が血球減少によるものかどうかはまだ確かではありませんので、採血を定期的に行うことで血球の数値と症状の推移を見ていくことが大切です。

もし、数値が今よりも悪化するようであれば、血液内科を受診して、骨髄の精密検査をしてみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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