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医療と健康

2024年11月26日

狭心症治療中に納豆などは禁食?

狭心症治療中に納豆を食べてはいけないのでしょうか?

64歳の女性です。68歳の主人のことですが、数年前に狭心症で入院をし、それ以来、再発防止に血液をサラサラにする薬を飲み続けております。
その後、体調に変化はないのですが、私の友人も心臓の病気になり、薬を飲んでいるそうなのですが、その際に医師から、納豆や緑黄色野菜などは食べないようにと注意を受けたそうです。
主人の時には、そのような注意は受けておらず、納豆も野菜も体に良いものと思い、自由に食べておりました。
納豆や野菜は、狭心症の治療中に食べてはいけないものなのでしょうか。主人のように食べてしまった場合、どうなるのでしょうか。

答え

薬の種類によっては投薬効果を弱める場合も

今回は狭心症の治療のため血液をサラサラにする薬を飲んでいる方から、その薬と納豆や緑黄色野菜との飲み合わせについて心配をされているとのご相談です。

実は、血液をサラサラにする薬には大きく分けて二種類あり、そのうちの一つは「抗血小板薬」、そしてもう一つが「抗凝固薬」と呼ばれるものです。

血液を固める代表的な仕組みとして、まず血液中の「血小板」という血球を介して行われるものがあります。血小板は、血液の中を流れる際に、なにか異物に接した時、そこに集積して固まる性質があるのです。

もう一つは「凝固系」というもので、血液中の様々な凝固因子が関連しあい、活性化することで血液を固めるという仕組みのものです。

これら血液を固める2つの仕組みをそれぞれブロックする薬が「抗血小板薬」と「抗凝固薬」になるわけです。

抗血小板薬の代表的なものに「アスピリン」がございます。狭心症の治療には主にこの抗血小板薬が使われ、アスピリンを処方されている患者さんも多いかと思います。

一方、抗凝固薬の代表的なものは「ワーファリン」という薬で、心房細動という病気や下肢の静脈血栓症という病気に対して処方されることが多いものです。ワーファリンは、凝固系に作用して血液を固まりにくくする薬ですが、体内にビタミンKが増えますと、その効果が弱まってしまう事が知られています。

納豆や緑黄色野菜にはこのビタミンKを増やす作用があるため、ワーファリンを内服している方は食べないようにと医師から指示があるのです。

確かに、納豆にはナットウキナーゼという物質が含まれており、それが非常に微力ながら抗凝固作用があるため、納豆を食べると血液がサラサラになると言われております。しかしながら、ワーファリンを服用している方にとっては、納豆の血液サラサラ効果よりも、むしろワーファリンの効果を妨げてしまう事の方が強力なため、納豆を食べてはいけないということになるのです。

今回のご相談のケースでは、狭心症の治療中ということですし、医師からも納豆や野菜を食べてはいけないという説明も無かったことから、おそらく抗血小板薬が使われていることが想定されます。そうであれば、これまで通り召し上がっても問題ないと思われますが、万一のために主治医の先生にご相談をされた方が良いと思います。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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