医療と健康
手のひらに大量の汗をかく。原因は?
緊張した時に大量の汗をかく。いわゆる多汗症でしょうか?
62歳の男性です。大量の汗をかく症状について教えてください。
私は以前より、手のひらを中心に大量の汗をかくことがあります。
仕事で緊張をしたときが多いのですが、それだけではなく、机に向かって座っているときや、電車に乗っているときなどに突然症状が出ることがあります。とくに手を握ったりすると、じっとり汗の滴が落ちるほどになります。
私は暑がりなわけではなく、体の他の場所にはそれほど汗をかきません。これはいわゆる多汗症なのでしょうか、それとも何か他の病気なのでしょうか。
自律神経のバランスが崩れている可能性
今回は手のひらを中心に汗を多くかくという方からのご相談です。
汗をかきやすいという症状は多汗症と言われます。人によって汗の出やすい場所は様々ですが、多いのは脇や顔、そして今回のご相談者のように手のひらも多いです。
多汗症の原因ははっきりと分からないことが多く、体質ということで対処される場合が多いのですが、基本的には自律神経のバランスが崩れ、交感神経が活発化することなどにより発汗が促されるものです。
例えばがんの様に、悪い部分を切除してしまえば治るというものではありません。根本的な治療法があるわけではなく、様々な治療法があります。
たとえば汗のかきやすい部分に薬を塗り、汗の出る汗腺を閉じてしまって、出にくくするという対症方法もありますし、汗を抑える作用のある飲み薬を使用することもあります。
また、先に自律神経のバランスで発汗が促されるとお話をしましたが、神経節と呼ばれる神経の関所のような場所に薬剤を注射し、神経の働きを鈍らせ、発汗を押さえる神経節ブロックという治療法もあります。また、胸腔鏡手術という外科的手術方法で、交感神経を遮断する治療方法もあります。これはより根本的な方法で、手術である以上は合併症や副作用の可能性もありますが、治療効果が高いため症状が強い方に対して適応が検討されます。
多汗症はある種の体質的なものであり、若い頃から悩まれているという方が多いです。一方で、症状が最近になって出て来たという場合には、甲状腺機能亢進症などの内科的な病気が隠れていないか診る必要があります。
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが沢山出てしまう病気です。手が震えやすい、動悸、頻脈など様々な症状がありますが、代謝が異常に活発になるという病気のため、多く汗をかくという症状も現れます。そのため、最近症状が出現してきたような場合には、念のため内科で採血検査を受けて、甲状腺ホルモンなどをチェックしていただくことをおすすめいたします。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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