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2024年08月15日

胃の内視鏡検査の受診間隔は?

前回の検査から5年以上経過していますが…

70歳の男性です。私は65歳の時に会社を退職し、今では自由な生活をしております。

現役で仕事をしていた時には、毎年会社で健康診断を受けており、バリウムの検査の代わりに内視鏡での検査も受けたことがあります。

それから5年以上経過し、区で行っている健診や予防接種などは利用していますが、内視鏡検査はしばらく受けていないことに気が付きました。

若い時に患った胃潰瘍も、今ではすっかり治っているかと思いますが、胃の内視鏡検査はどれくらいのタイミングで受けたほうが良いのか、また、どのような病院で受けられるのか、教えてください。

答え

高齢者の場合は1年に1回がおすすめ

今回は、胃の内視鏡検査はどれくらいの間隔で受診すればよいかというご質問ですが、市区町村で行われている「胃がん検診」の実施方法が指標になると思います。この指針は国から出されているもので、内視鏡検査については2年に1回の受診ということになっております。

 市区町村で行われる検診は「対策型検診」と呼ばれるもので、集団全体の、疾病による死亡率を減らすことを目的として考えられています。その指針に沿い、内視鏡検査は2年に1回受診していれば、その集団でみた場合に胃がんで命を落とすという確率を減らせるというものです。

一方で、胃がん治療の場合には、死亡率だけではない部分もあります。というのも、かなり早い段階の小さい病変であれば、技術の進歩により胃内視鏡で治療を行えるケースも多くなりました。お腹を開き、胃を切除する手術の場合、術後なかなか食事がとれずに痩せてしまったり、様々な問題が起きる心配もあります。内視鏡による手術の場合は、お腹や胃を切る必要が無いので、術後の経過も非常に楽になります。

そのため、やはり早期発見をして、小さなうちに内視鏡で切除することが理想になります。早期発見のために、検査の間隔は2年に1回よりも、1年に1回受けておいた方が良いという場合もあるのです。

また、高齢の方の場合には、胃がん以外にも、たとえば食道がんなども増えてきますので、そういったもののチェックも考えますと、内視鏡の負担などを個人で考えて実施する任意型検診として、1年に1回の受診をおすすめします。

内視鏡の検査の精度は、実施する医師によって差がありますので、大きな病院であれば良いというわけではありません。内視鏡の専門医や指導医のもと、しっかりとした精度管理がされている施設での受診が望ましいでしょう。

あなたの場合、若い時に胃潰瘍を経験しているとのことですが、胃潰瘍の原因はピロリ菌感染が多く、そのピロリ菌感染が長く続くと萎縮性胃炎を起こし、そこから胃がんが発生しやすいということが分かっています。やはり内視鏡の検査、場合によってはピロリ菌の有無のチェックもしてみて、もし陽性であれば除菌をするということも検討する必要がありますので、ぜひ一度検査を受けてみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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