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2024年06月20日

「耳性帯状疱疹」後遺症に悩んでいます…。

5年前にかかった帯状疱疹の後遺症に悩んでおります

86歳の女性です。5年ほど前に帯状疱疹となり、髪の生え際から広がって目まで充血しました。外見は治ったのですが、時々襲ってくる眩暈と痺れ、全身のだるさに困っております。耳も遠くなった気がします。

発作が起きると急患として点滴を受けたりします。内科の先生に相談しても分かってもらえず、家でテレビばかり見ているからだと介護施設への参加を勧められるだけです。

現在血圧がやや高いため、狭心症改善の薬と血液を固まりにくくする薬、眩暈が起きた時には内耳の血液の流れを良くする薬を服用しています。帯状疱疹の副作用と思われる眩暈、痺れ、だるさを改善する薬はないものでしょうか。

答え

めまい・難聴の症状など
耳鼻科、脳神経内科に受診を

今回は帯状疱疹後の後遺症でお悩みの方からのご相談です。

帯状疱疹はご高齢の方に多い疾患で、その原因は水痘帯状疱疹ウイルスというものです。これは子供の頃にかかる水疱瘡の原因ウイルスですが、治った後でも体から完全にウイルスが消えるわけではなく、神経の根元の神経節に潜んでいます。

通常はなにも起きませんが、加齢、病気で体が弱った時、あるいはストレスにより免疫力が一時的に下がった時などに、潜んでいたウイルスが再び活性化して、神経に沿って増殖をします。

帯状疱疹が最も発症しやすい場所はお腹や背中の付近ですが、神経に沿って症状が現れ、最初は皮膚の痛み、何日か経過すると皮膚に発疹や水膨れができたりします。今回のご相談者の場合は、髪の生え際の部分から目にかけて帯状疱疹が発症されたとのことです。このような場合は、顔面神経、三叉神経、聴神経が侵され、痛みのほかに顔面神経麻痺、眩暈や耳鳴りなども生じることがあり、耳性帯状疱疹、あるいはラムゼイ・ハント症候群ともいわれたりします。

発症早期の治療には抗ウイルス剤を用います。早めに対処をすることで病状が酷くならず、また後遺症も起きにくくなるのですが、それでも後遺症に悩まされる方は少なくありません。

帯状疱疹後神経痛というものがあり、皮膚の皮疹は治っているのに、その部分の痛みが続くものです。1割くらいの人が半年から1年くらい症状が続くことがあり、稀に何年も痛みに悩まされる方もいらっしゃいます。

さらに、今回のように耳性帯状疱疹の場合には、めまい、顔面神経麻痺、難聴などが後遺症として残ってしまうこともあり、その場合には症状を改善することが難しいことも多いのです。

耳性帯状疱疹の専門家は耳鼻科ですので、内科の先生ではなかなか理解してもらえない場合もあると思います。耳鼻科へのご相談がまず第一歩ですが、すでに受診していて今お飲みになられているお薬が効かないという場合には、内科の中でも脳神経内科を受診いただき、神経面からのお薬を調整してもらうことで症状が改善する場合がありますので、ご相談してみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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