医療と健康
片耳だけ耳鳴りが2年も続いています。原因は?
右の耳だけ、キーンという音が四六時中なり続けています
64歳の男性です。耳鳴りに悩まされており、ご相談させていただきます。
いつ頃からかはよく覚えておらず、2年くらいにはなるかと思うのですが、ずっと耳鳴りが止みません。右の耳だけ、キーンという音が四六時中なり続けているのです。左の耳は異常ありません。
最初は気にならなかったのですが、いつのまにか大きくなり、最近は煩わしく感じるほどになりました。
先日、耳鼻科を受診して薬をいただいたので、しばらく飲み続けているのですが、とくに効果はないようです。
この耳鳴りの原因がわかりますでしょうか。何か別の病気が隠れていることはないでしょうか。
まずは原因の特定が先決です
重要な病気がないか精密検査も必要
今回は耳鳴りの症状に悩んでいらっしゃる方からのご相談です。耳鳴りでお悩みの方は大変多く、外来でもよく相談を受けるのですが、原因が分からないケースが多いです。
たとえば体のどこかが痛む場合には、痛み止めの薬を飲めば症状を抑えることができますが、耳鳴りを止める薬というものはありませんので、対処療法もなかなか難しいものがあります。とくに症状が強く、長年悩まれている方にとっては大変つらい状況かと思います。
耳の構造は、「外耳」「中耳」「内耳」の3つに分かれています。「外耳」は耳の外形から鼓膜までの部分。「中耳」が鼓膜の内部。そして中耳よりも奥が「内耳」であり、この内耳が音の振動を神経へ伝え、脳への電気信号に変換するための器官です。
この内耳に何らかの異常が起こり、音が鳴っていないのに、鳴っているかのような信号が脳へ送られてしまう病気が耳鳴りと考えられています。
耳鳴りの原因は分からないことが多いのですが、稀に、中耳に炎症が起きる中耳炎や、メニエル病、突発性難聴などの聴力障害に伴って耳鳴りが起きる場合があります。そういう場合には、それらの病気を治療することで改善します。
さらに稀なケースですが、脳腫瘍や耳神経腫瘍などがあると耳鳴りが起きる場合があります。これらの病気が疑われる場合にはMRIなどの検査でチェックする必要があります。
それ以外にも、耳鳴りが「キーン」という音ではなく、「ザーザー」と流れるような音の場合、脳へ流れる血管に動脈硬化など様々な血流の異常があり、それによって血管から雑音が発生して「ザーザー」と聞こえる場合があります。このような場合には、血管を撮影して調べる必要があります。
このような原因となる病気が隠れていないかを調べる為には、画像診断や聴力検査などを行う必要があります。
その結果、何も病気が隠れていなければ、命に関わるようなことはありません。有効な薬はありませんが、人によっては時間の経過とともに改善される方もいますので、経過を見ながら「慢性的な耳鳴り体質」として、うまく付き合ってゆくことになるでしょう。
まずは原因となる病気が隠れていないか、精密検査の受診をおすすめいたします。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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