医療と健康
異常な眩しさ、視界が白くかすむ…白内障の手術が不安。
白内障の手術が不安…どんなことをするの?
72歳の女性です。以前から日差しが眩しく感じ、外出をする際には常にサングラスを掛けるようにしていました。
ある頃から眩しさが酷くなり、目が疲れて薬局で売られている目薬を使用してみたのですが一向によくなりません。視界が全体的に白くにごったような感じもして、近くも遠くも見えにくくなってしまいました。
目医者に行ったところ「白内障だ」と言われました。もう少し症状が進んだら手術をするといわれました。まずは片目を手術し、1か月後くらいに残りの片方の目も手術するとのことですが、白内障の手術とはどんなことをするのでしょうか。場所が目だけに、難しい手術なのか、痛くはないのか、とても不安です。
経験豊富な眼科医ならば安全。痛みもほとんどありません。
白内障という病気は、目のレンズの役割を果たしている水晶体が白く混濁することによって、さまざまな症状が現れます。最初の頃は視界が眩しいと感じ、その後ぼやけたり、霧がかかったように見えたりし、それにつれて徐々に視力が低下してゆきます。
原因の多くは加齢による老化現象で、50歳くらいから発症しはじめ、80歳を超える頃には、症状の進行の差はあれ、殆どの方が白内障を患います。また加齢以外にも、他の様々な目の病気に合併して起こることもありますし、紫外線を多く浴びたりすることによって白内障になりやすかったり、病状が進行したりすることも知られております。
白内障自体は悪性ではないため、命に関わるという事はないのですが、やはり視力が低下することにより、生活に支障が出てきた場合、薬による治療は難しいため、手術による治療を行うのが一般的です。
一方で、白内障による水晶体の白濁がそれほど進行していないのに、視力の低下だけが強い場合、他の眼の病気が隠れている場合もありますので、その場合は改めて眼科で精密検査を行うことが大切です。
現在行われている白内障の手術は、目にほんの小さな切り口をつくり、そこから器具を挿入して、白く濁った水晶体を細かく砕き、吸引を行います。その後、ご自身の目に合った人工レンズを挿入します。
手術自体は広く一般的に行われているものですので、経験豊富な眼科医ならば安全に手術をすることができます。全身麻酔なども不要ですし、身体への負担も大きなものではありません。痛みが出ることもほとんど無い手術ですので、それほど心配する必要はありません。
もしも、手術をせずに水晶体が真っ白になるまで放置してしまった場合、失明と同じような状態になりますが、その時点でも手術さえ行えばまた見えるようになります。たとえ手術のタイミングが遅くなったからといって、手術の成績が悪くなるようなことはありません。
手術ですので、ごく稀には出血や感染症などの合併症が生ずる危険性があることはやむを得ませんが、実際に手術を行った多くの方が、とてもよく見えるようになったと喜ばれますので、眼科医の指示に従い、安心して手術に臨んでください。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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