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2016年08月01日

2016年7月入選作品|老友歌壇

一 席

それぞれの人生背負いすれ違う駅のホームは淋しき所

秋山 みさ子

たくさんの人達とすれ違っても、所詮他人でしかない。駅という場所にそんな寂しさを感じた感性が光ります。

二 席

乗り越して降り立つ駅はやさしくてわたしをのどかな旅人にする

王田 佗介

乗り越して降りた駅は風景も駅員さんもやさしかったのでしょう。旅の醍醐味はこんなところにもありますね。

三 席

孫娘の一人暮らしが気にかかる死ぬ程長い四月過ぎゆく

阿部 サウ

孫娘さんが一人暮らしを始めた四月。その四月が「死ぬ程長い」に孫娘さんを心配している気持ちがよく表れています。

佳作秀歌

自転車に鍬くくりつけ老はゆくあちらこちらで春うごく道

荻野 徳俊

春を迎えて農作業が始まる様子を表現した「春うごく」が秀逸です。

巡礼の人等静かに石段を踏み締めている結願間近

五木田 時子

結句の「結願間近」で、巡礼の人達の心の動きが表現され、一首が引き締まりました。

嫁の留守を朝寝しおれば猫のチビが悲しき声で襖を搔きぬ

塩谷 千鶴子

作者のたまの朝寝に、チビちゃんは心配したんでしょうか。。

金丸座に歌舞伎役者の大見得を切れば桜も満開となる

横山 一雄

金丸座は昔ながらの造りで、江戸時代にタイムスリップしたような気持ちにさせてくれます。花形役者の大見得と満開の桜、華やかですね。

さ緑の茶の芽育つを遠く見て晩霜予報に心さわげる

石野 文子

霜にやられず恙無く育ってほしい、お茶を作っている地域の皆さんの願いですね。

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