趣味
2016年07月07日
2016年6月入選作品|老友歌壇
一 席
濃く淡く畦焼く煙の流れ来て男一人が見え隠れする
荻野 徳俊
畦を焼く場面に、煙の奥にいる男を置いたことで歌に奥行きが出ました。
二 席
春空を呑みて泳ぐや鯉のぼり縦にあおられ横になびきて
寺迫 保夫
男の子の成長を願って揚げる鯉幟。その鯉幟が泳ぐさまを「春空を呑みて」と大きく表現しました。
三 席
花冷えの暁に未だまどろめる空気を裂きて救急車ゆく
上田 昭子
早春の明け方の、ひっそりと穏やかな空気を裂いて行く救急車。不穏な場面をうまく表現しました。
佳作秀歌
列車待つホームにおれば鳩一羽伸び縮みする首が近寄る
松尾 勝造
「首が近寄る」としたことで鳩の独特な動きが鮮明になりました。
押し車頼りに歩めば春一番が我の背を押す陽も温く射す
勝亦 はる江
春先の強い風が「背を押す」と感じた作者。その前向きな姿勢を春の陽も応援します。
落ち椿掃けばほろほろ転がりぬ花の形を残したままで
飛田 芳野
花の形のままに落ちている椿を掃く時、なんともいえない気持ちになります。
桜咲くさくら苑にてさくら葬 兄逝きたまう花に埋もれて
櫓木 香代子
桜の季節に、桜の花びらに包まれて逝かれたのでしょうね。
少しずつワインのコルクがせり上がりポンと飛び出す春の宵なり
山岸 とし子
ワインのコルクが抜けるポンという明るい音が、春の宵の気分を表現しています。
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