趣味
2020年11月05日
「怠るにあらねどひと日無聊にて過ぎたることを今宵も嘆く」2020年11月入選作品|老友歌壇
老友新聞2020年11月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
怠るにあらねどひと日無聊(ぶりょう)にて過ぎたることを今宵も嘆く
松尾 勝造
怠けている訳ではないが、一日中何をするでもなく過ごしてしまった、という所在なさが共感を持って伝わります。
二 席
夕焼けに縁取りされた亀がいて帰路には大き恐龍二頭
小川 説子
行きと帰りの雲の形を、子供のように柔軟な発想で表現しました。「夕焼けに縁取りされた」が印象的です。
三 席
土砂を積む大型ダンプの切れ間なく猛暑の街道熱風の湧く
勝亦 はる江
工事のため、家の前の道路をダンプカーが10台20台と続いて走る光景。暑さがいや増すさまがよく伝わります。
佳作秀歌
縄跳びの少女まばゆし飛び跳ねる影濃く長く夕陽が映す
荻野 徳俊
縄跳びをする少女の姿が美しいシルエットとなる夏の夕暮れ。映画のような情景が浮かびます。
足袋底にひと日の疲れ広がって朝の生気を吸い取ってしまう
岸 慶子
昨日の疲れが残る足袋を履いた朝の感慨と読みました。大変だった昨日の作業を思わせます。結句の字余りも効果的です。
病棟の六階の窓より街眺め我が家の屋根を探しておりぬ
王田 佗介
入院病棟から、つい我が家のあるあたりを探す作者の心細い思いが伝わります。
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