趣味
2020年06月08日
「足裏に何か触れたる心地して見れば舗道の狭間のすみれ」2020年6月入選作品|老友歌壇
老友新聞2020年6月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
足裏に何か触れたる心地して見れば舗道の狭間のすみれ
上田 昭子
何かを踏んだような気がして立ち止まり発見した小さな春。読者をその場面に誘い、春の気分を共有させてくれます。
二 席
数本の脚をのぞかせ路地裏の立ち食いそば屋の暖簾が長し
荻野 俊徳
立ち食いそば屋の暖簾に着目しました。長い暖簾は店と外界とを遮り、客の一時の平安を守っているようです。
三 席
鏡に向きしみじみ老いの皺ふかき顔に大きなマスクつけたり
宮本 ふみ子
コロナ禍に対する静かな、しかししっかりとした構えが「しみじみ」という一語に凝縮されています。
佳作秀歌
鳥語など分かればいかに楽しかろう今朝の雀と話をしたし
松尾 勝造
本当にそうですね。昔読んだ『きき耳頭巾』を思い出します。
一日を誰と話すこともなく夕焼け空にさよならを言う
岡本 政子
朝から誰とも話さず一日を終えてしまった。せめて夕焼け空にさよならを言う。明日は誰かと話したいですね。
二人静そのやさしさに日にいくど歩みよりたり青草の中
岸 慶子
比較的大きな葉の緑色に、白い小さな花が可憐に映える二人静。気持ちがざわつく時に何度も見たい花です。
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