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2019年12月05日

「通り過ぎし下校の子らの落とし物柿の実四つわが家の前に」2019年12月入選作品|老友歌壇

老友新聞2019年12月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

通り過ぎし下校の子らの落とし物柿の実四つわが家の前に

上田 昭子

子供達が落として行った柿の実。その橙色の暖かさが、心に灯りをともしたように感じられたのでしょう。「四つ」という具体もいいですね。

二 席

黄金田(こがねだ)に音たててゆくコンバイン白鷺、鴉、雀が続く

宮本 ふみ子

黄金色に実った稲を刈っていく機械。その後から白鷺、鴉、雀が続くと描写した事で、長閑な秋晴れの光景と同時に収穫の喜びが伝わります。

三 席

手を出せば雪虫ふわりと飛び去りて四時四十分日の入りとなる

岸 慶子

雪虫という呼称は詩心を刺激しますね。「四時四十分」という時間の提示が、日の入りの情景を効果的に浮かび上がらせました。

佳作秀歌

台風の大過免れ育ちたるなすびは次第に秋味となる

坪内 榮子

台風に負けずに育った茄子。「秋味となる」に美味しさが凝縮されています。

リハビリのペダル踏みつつ口ずさむフニクリフニクラ天までのぼれ

岡本 政子

「赤い火を噴くあの山へ登ろう」の出だしの歌、フニクリ・フニクラ。結句「天までのぼれ」が明るく大らかです。

スポーツの記事八頁 オリンピック迫りてきたり今朝の新聞

櫓木 香代子

マラソン、競歩の会場は「合意なき決定」をしたようですね。それにしても八ページとは!オリンピック気分も盛り上がりますね。

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