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2018年12月05日

「ふと浮かぶ小さな一言メモをとる床に腹ばい雨音聞きつつ」2018年12月入選作品|老友歌壇

老友新聞2018年12月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

ふと浮かぶ小さな一言メモをとる床(とこ)に腹ばい雨音聞きつつ

坪内 榮子

誰もが経験している日常の一コマ。結句「雨音聞きつつ」で詩情がうまれました。「床に腹這い」の具体的な描写もいいですね。

二 席

蜘蛛の糸小川をまたぎて揺れ光る日暮れにさわと風渡るとき

荻野 徳俊

「小川をまたぎて」に作者の発見があります。晩夏の夕暮れの小さな光景が、温度や湿度も伴って読者の目に浮かびます。

三 席

今日一日(ひとひ)を決めたる如く過ごしきて日記の終わりに花丸を書く

松尾 勝造

規則正しく一日を過ごし、日記をつけ、そしてそんな自分にこそ花丸をつけている作者でしょう。淡々とした描写が活きています。

佳作秀歌

夕立ちは尾鈴山より下(くだ)りきて川面を叩き通り過ぎたり

青柳 忠良

「川面を叩き」が夕立ちの激しさを表しています。尾鈴山という地元の固有名詞もいいですね。

母の齢越えれど今も甘えたし夢にて今夜も喜び語る

鈴村 三保子

何歳になっても娘にとっての母は母。筆者も今でも時々母を夢にみます。

山菜の重みが肩に食い込んだ背負籠(しょいかご)眠る思い出詰めて

皆川 孝夫

若い時に重い籠を背負って働いた時の様々な思い出。その籠に愛おしさを感じる作者でしょう。

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