趣味
2018年07月31日
「窓あくる瞬時ひとひら舞い込こみし蒲公英の種風に返しぬ」2018年7月入選作品|老友歌壇
老友新聞2018年7月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
窓あくる瞬時ひとひら舞い込こみし蒲公英の種風に返しぬ
松尾 勝造
タンポポの種をそっと風に返した。日常のひとこまを春の気分に満ちた一首にしました。「風に返しぬ」が秀逸です。
二 席
病重き友を見舞いて戻るみち白白と咲く十薬の花
山岸 とし子
重病の友人を見舞って心の重い帰り道。目に入った十薬の白さが、作者の様々な思いを象徴しています。
三 席
綿菓子の紅ブラウスに付けしままあどけなく笑む新妻なりき
福田 浩明
奥様がまだ若かった頃の思い出。初々しかった姿を時折思い出す作者でしょうか。有名なこの歌を思い出しました。
なめらかな肌だったっけ若草の妻ときめてたかもしれぬ掌は
佐佐木 幸綱
佳作秀歌
老いの髪をかくすつば広夏帽子「お似合いですよ」と触れてゆく風
上田 昭子
夏帽子を出して被ってみた、季節の始まりへの心躍りがよく表現されています。
小手毬の白々と咲くこの夕べ亡き妻のこと深く想いぬ
山東 二郎
楚々とした小手毬の姿とその白さが、亡き奥様の姿を想像させます。
短歌詠むも限界なるかと夜の更けを思考なきまま日記にしるす
仲野 まつ乃
歌ができなくて悩んでいるのは誰しも同じ、限界はありませんよ。続けましょう!
芋植える傍に雉きて羽開く目玉くるくる西日に輝く
勝亦 ふさ子
逃げもせず作者の傍に来て羽を開く雉。目玉が西日に輝いてさぞ可愛い事でしょう。
町内の凧揚げ主催せし我は今は見るのみ窓越しの凧
杉山 勝治
以前は凧揚げ大会を主催されていた作者。今は窓越しに見るしかない凧、寂しいです。
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