趣味
2018年03月16日
「わが生の残光きらめく如くにも真冬の海にたてる白波」2018年2月入選作品|老友歌壇
老友新聞2018年2月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
わが生の残光きらめく如くにも真冬の海にたてる白波
松尾 勝造
厳しい冬の海に白く立つ波を、自分の余生、しかも煌めく余生のようだと感じた作者。見事な感慨です。
二 席
何事もなき家庭など無しと思う冬の落日ぼうと見ており
宮本 ふみ子
家庭内での問題を抱えつつ冬の夕陽を見ている。しかし本当は、見ているのに見ていない、そんな感情が伝わってきます。
三 席
雪蛍ふわりふわりと飛んでゆく寒さ知らせる優しきものよ
天野 よし江
初冬に見る雪虫、綿虫とも。「ゆきほたる」という美しい響きが「寒さ知らせる優しきものよ」を引き出しました。
佳作秀歌
秋茄子の紫の色艶もよし嫁が笑顔の灯れるに似て
荻野 徳俊
健康的なお嫁さんの笑顔が目に見えるようです。「灯れる」がいいですね。
干柿にやわらかな陽がさしている洗いし物をその下に干す
杉山 勝治
干柿の橙色に陽がさしてあったかそうですね。洗い物も乾きそうです。
内科医院、眼科医院をめぐりきて待合室に息ととのえぬ
塩谷 千鶴子
あちこちの病院を回ってやっと最後の病院に来たという安堵感が、結句「息ととのえぬ」に凝縮されました。
音も無く庭をメダカを日曜を濡らしはじめん紅葉の雨は
清岡 晃
初めてのご投稿でしょうか。濡らしているのは雨ではなく紅葉だと、結句で初めてわかります。今後もお続け下さいね。
電線が揺れるほどにも隙間なく並ぶ野鳥の会話聞きたい
岩崎 ますゑ
本当に、どんなおしゃべりをしているんでしょうね。動物の話がわかる『聞き耳頭巾』という民話を思い出します。
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