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2017年09月07日

「渋滞の尾灯の流れ川となり高速ランプに雨降りしきる」2017年8月入選作品|老友歌壇

老友新聞2017年8月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

渋滞の尾灯の流れ川となり高速ランプに雨降りしきる

福田 浩明

渋滞時の車のライトが川のようだと思った作者。その川に雨が降りしきる夜の美しい光景を読者に想像させてくれます。

二 席

一本の小さき螺子(ねじ)の価値を言う老職人の眼光鋭し

荻野 徳俊

「眼光鋭し」が、一本の螺子の大切さを語る職人の、一途で頑固な姿を彷彿とさせます。

三 席

バリバリと破砕機家を噛み壊す音止みし時うぐいすの声

勝亦 ふさ子

長年慣れ親しんだ我が家の解体を、辛く感じていた時に聞こえたうぐいすの声。その時の心の安らぎが表現されています。

佳作秀歌

雨の中大きな傘の一年生あっちで止まりこっちで止まる

松尾 勝造

大人は急ぎ足で通る雨の日を、子供はあちこちで何かをみつけながら行きます。

何事も無かりしごとく五月雨の降る主亡くせし庭に花に

葛西 ヤヨヒ

手入れが行き届いた庭を見る度、亡くなられたその家のご主人を偲ぶ作者でしょう。

花芽もつ紅ほうずきは残しおき庭の草とる足曳きながら

塩谷 千鶴子

残すものはきちんと残しながら庭の手入れをする作者の姿が見えるようです。

この団地に生涯住むと決めてより楽しクラブの仲間に誘わる

金澤 忠男

終(つい)の棲家を得て迷いがなくなったのでしょう。良かったですね。

気に入りのセーターたたむ寒かった今年の冬の思い出たたむ

岡本 政子

たたんだ今年の冬の思い出は、寒くも楽しかった思い出だったでしょう。

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