趣味
2017年07月06日
2017年6月入選作品|老友歌壇
一 席
スキップの少女春風連れながら菜の花畑を遠ざかりゆく
櫓木 香代子
春の光景をさわやかに詠みました。結句「遠ざかりゆく」の動きが余韻を感じさせます。
二 席
目白来て枝移りする梅の木にまた二羽の来て始まる輪唱
上田 昭子
まず一羽が来て鳴いている梅の枝に、また二羽が来て声が美しく重なっている。素直で的確な描写が印象的です。
三 席
外猫の皿に手つかぬ餌あればあやぶみ覗く日暮れは寒し
塩谷 千鶴子
猫を愛する作者ならではの歌。餌を食べていない猫を心配する気持ちが、結句「日暮れは寒し」にも反映されています。
佳作秀歌
久しぶりに妻の奥津城(おくつき)訪ぬれば入り口に咲く蒲公英ひとつ
松尾 勝造
「奥津城」とは墓所の事。奥様の墓の入り口に咲いていたタンポポに、気持ちが癒された作者でしょう。
一台のテレビに家族集まりし茶の間あたたかき昭和恋しも
宮本 ふみ子
家族を繋げるものが少なくなりましたね。昭和が古き良き時代になってしまいました。
家は焼け食べ物はなく職もなき戦後の日々を孫に語れど
藤本 洋子
結句「孫に語れど」の後に、言葉にならない言葉を感じ切なくなります。
新聞に事故や事件の記事多し外に音なく春雨の降る
勝亦 はる江
毎日起こる事故や事件に心が痛みますが、その気持ちを下の句で表現しました。
バックして道を譲りし我の顔見向きもせずに車走り過ぐ
王田 佗介
そういう人が多くなりましたね。でも、他人の事は気にしない気にしない。
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