趣味
2017年03月03日
2017年2月入選作品|老友歌壇
一 席
新しきろうそくの火を灯すごとけさ一輪の薔薇(そうび)を活けぬ
松尾 勝造
一輪の薔薇を活けた朝、まるで新しいろうそくが灯ったような気持ちがした。瑞々しい感性です。
二 席
重病を電話で伝える友の声明るく聞こえて心ざわつく
坪内 榮子
作者を心配させまいと病状を明るく告げた友。それを察して心がざわついた作者。互いに相手を思い遣る優しさが表れています。
三 席
海へゆくわれを追い抜く赤とんぼ海は凪かや船は見ゆるか
上田 昭子
海へ行く途中、とんぼに語りかける作者の心躍りが素直に表現されていて、気持ちの良い一首です。
佳作秀歌
安らぐというにあらねど三人子(みたりご)の名刺財布にしのばせて持つ
仲野 まつ乃
三人のお子さんの名刺を御守り代わりに持っていらっしゃるのですね。
茶畑の上赤々とまんまるき秋の入日のストンと落ちぬ
宮本 ふみ子
秋の日は釣瓶落とし。夕刻の茶畑の情景が目に浮かびます。
咲き崩れしだれてもなお矜持もつごとく紅(くれない)保つベゴニア
勝亦 はる江
真っ赤なベゴニアの花には、小さいながら強いものを感じますよね。
争いの後ガチャガチャと音たてて食器を洗う妻は寅年
王田 佗介
結句の「妻は寅年」で種明かし。読者をクスリとさせるユーモアたっぷりの一首です。
申からの続く不景気酉除く良き年となれ日本列島
鈴木 曻
老友紙面上で出したお題の「動物」で。「申」と「酉」を上手に入れて新年詠になりました。
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