老友新聞2019年11月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天　位

絵手紙の団扇が涼を連れてくる

阿部　良子

何よりの「暑中見舞」ですね。お家の中に一陣の風が吹き抜けるようですね。

地　位

声までも日焼けしそうなこの残暑

野澤　玲子

面白い表現ですね。今夏の猛暑は実に苦しいほどでしたもの。

人　位

ひとり見る夕焼空が広すぎる

内田　美也子

「広すぎる」に作者の心が見事に現されていますね。

五　客

美しく老いてゆきたし衣更え

櫓木　香代子

その心掛けが大切ですね。

おり入って話があるへ身構える

山路　義隆

あらたまって言われると、いささかギョッとしますよね。

稲田には立たぬ案山子の品評会

勝亦　はる江

言わば案山子のファッションショーですね。楽しそう。

親族が集まる時は黒い服

野澤　玲子

昔から「親（しん）は泣き寄り」という言葉もあります。法事の時だけ揃う顔ぶれですね。

壊したら二度と戻らぬこの平和

菊地　幸子

不穏な紛争が多い近頃です。平和を祈らずにはおられません。