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2024年09月19日

「悪口は全て聞こえる俺の耳」2024年9月入選作品|老友川柳

老友新聞2024年9月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天 位

悪口は全て聞こえる俺の耳

新井 純一

何を耳から入れるかは個人差が大きいもの。悪口が全部聞こえるという自意識過剰ぶりを自ら風刺。この句で周囲を牽制しているなら頭脳派ですね。

地 位

口癖のもったいないに太らされ

阿部 良子

子供の頃から「もったいない」精神で育った世代。食べ物を残さずいただく習慣に縛られ、肥満を招く現実を、擬人法で表現したのが巧みですね。

人 位

八十路超え婚活をもう諦めた

下田 尚保

八十歳まで婚活を?というツッコミを呼ぶ剛腕に拍手。「諦めた」と言いつつその気が消滅していないのが窺われ、読者に勇気を与える効果も(笑)。

五 客

繋がれもせず猫うまく世を渡る

王田 佗介

ペットの中でも抜きん出て世渡り上手な猫。暗黙のうちに、制約の多い生活を強いられる人間への同情を示し、お見事です。

ああ死にそう児の声高し三十五度

岡本 政子

普段なら微笑ましく感じられる幼児の甲高い声が、嫌でたまらないほどの酷暑。「死にそう」という誇張が効果的です。

梅雨晴れ間てるてる坊主笑ってる

森井 睦子

雨を避けたい願いから吊るしたてるてる坊主。しっかり好天に恵まれ、笑っている顔だと感じるセンスが光ります。

電柱の日陰で青になるを待つ

久保 巴子

夏の暑い日差しを避けようと、信号待ちのわずかな時間でも電柱の陰に。日常の行動を観察して一句にという見本でしょう。

優しさが何よりご馳走俺も歳

新井 純一

人の優しさが胸に沁み、何よりのご馳走だという心境。経験の無かった実感を「俺も歳」と自嘲的に綴ったのが妙味です。

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