趣味
2023年12月19日
「マジシャンよ世界の兵器皆消して」2023年12月入選作品|老友川柳
老友新聞2023年12月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天 位
マジシャンよ世界の兵器皆消して
本庄 一郎
戦争の報道に接するにつけても、兵器さえなければという気持ちになるところ、奇術で消してくれないかという発想の飛躍が見事。切ない願望です。
地 位
バーゲンにくの字の腰で猛ダッシュ
新井 純一
腰が曲がり歩行もままならないはずが、バーゲンに目の色を変えて走る。欲望がいかに人間を変えるか、笑わせながら、突き付ける問いは鋭いです。
人 位
まだ書ける秋いっぱいの欲がある
田中 和代
この句も欲望がテーマ。食欲とは限らず、書いてから入手する手順なのでしょうか。「秋いっぱいの」の言い回しに卓越した発想力が現れています。
五 客
曼殊沙華群れていながら孤独感
王田 佗介
派手な色で咲く曼殊沙華の表面に目が行きがちですが、そこに孤独感を見つける観察眼が光ります。人の世界も連想させて。
戦中派賞味期限は鼻でみる
阿部 良子
ウソやレッテルに騙されない気概を保つ戦中派。自分の嗅覚を頼りに生き抜いてきた姿勢は、今なお、お手本かもしれません。
前進すあしたがあるさ赤とんぼ
森井 睦子
夕方、ふと目にした赤とんぼに自分を投影。陽は沈んでも、明日への希望を手離すまいというエールの歌が聞こえます。
こんな人三権の長なさけない
王田 佗介
言い訳に終始と見えた辞任会見。庶民の率直な気持ちの吐露も川柳になります。結局、心労で命を縮めたのでしょうか。
名月や星も負けじと輝ける
櫓木 香代子
名月の晩、主人公の月に対抗するかのように輝く星の美しさ。これはひねくれ意識ではなく、気づきを大事にする心ですね。
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