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2023年06月20日

「孫が来てすぐ散歩する諭吉さん」2023年6月入選作品|老友川柳

老友新聞2023年6月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天 位

孫が来てすぐ散歩する諭吉さん

新井 純一

お孫さんのためにお金を使う喜び。「散歩する諭吉さん」と比喩が効いています。新一万円札登場のニュースも連想させ、一句で多くの味わいが。

地 位

式典のピーク涙が舞いあがる

田中 和代

この三年間、つぶれた行事がいくつあったことでしょう。やっと開かれた式典に涙する人の多さを「涙が舞いあがる」と描く表現力に脱帽です。

人 位

夢数多ゆっくり進め時計たち

阿部 良子

老境にあって、なおやりたい夢がたくさん。時計が進む速度は変わるはずないのに、「ゆっくり進め」と呼びかける心情は、共感を呼ぶことでしょう。

五 客

何もかもIT頼みに成り下がり

福田 浩明

自分の頭で考えることをやめてしまい、何でもITに頼る風潮を風刺。そのうち川柳作りまでAIに頼む時代に?

追い風に負けそうになる老いの足

細川 ミキ

普通は歩行の助けになる追い風が、足元がおぼつかなくなった自分にはマイナスに働く。悲哀をうたう表現が巧みです。

マスクとれ途端に妻は厚化粧

王田 佗介

コロナの扱いが変わり、マスクを外す人も増えた中、奥様が厚化粧を始めたという、滑稽な現象を活写。全国にご同輩が?

原発禍未だ拭えず又卯年

鈴木 曻

3・11の原発事故から12年が経つのに、影響は続く現状。「又卯年」と干支を引き合いに出すテクニックが光ります。

鯉のぼりソメイヨシノと背比べ

田中 和代

春の主役の桜と五月の鯉のぼり、この二つを対比するのに、「背比べ」というこどもの日の題材を持ち出した機知に敬服。

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