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2023年05月12日

「母曰く惚けるが勝よねこ昼寝」2023年5月入選作品|老友川柳

老友新聞2023年5月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天 位

母曰く惚けるが勝よねこ昼寝

森井 睦子

ボケはマイナスで悲しむべきこととの「常識」に反する発言。昼寝する猫の姿を並べることで、ユーモアと説得力が俄然出て来ますね。快作です。

地 位

やんわりと心の棘を抜くいで湯

阿部 良子

生活の中で心に突き刺さった棘を放置するのは不調の元。大好きなお湯に浸かってのリフレッシュは大切ですよね。「やんわりと」が効果的表現です。

人 位

静かにと言われて飲む酒にがい酒

福田 浩明

飲酒の時はリラックスしておしゃべりしたいもの。お店でなのか、「静かに」と注意されてしまうと、お酒の味も苦いものに変化。心境が伝わります。

五 客

野仏と内緒ばなしをして帰る

田中 和代

誰にも話せないことを、訪ねた野仏さまに語る行為。切なさが漂いつつ、共感を呼ぶ一句ですね。「内緒」に惹かれます。

マスク取れ明るいルージュ買うことに

櫓木 香代子

コロナ騒ぎが明け、久々のノーマスク。購入する口紅は明るい色にしようという心の動きがありありと想像できますね。

クラス会共に蹌踉ける傘寿友

新井 純一

八十八歳まで長い付き合いの旧友と顔を合わせたとき、仲良くヨロケて苦笑い。笑顔を呼ぶ長寿のエール交換ですね。

逢いに行く爪も言葉も丸くして

中川 栄子

顔を合わせたい半面、とげとげしい態度を取ってしまうかもしれない不安を表現。相手を省いて想像させるのも見事です。

戦中の苦しさ浮ぶウクライナ

岡本 政子

戦下のウクライナを描写する報道に触れ、戦争体験が蘇る。何十年経とうが消えない辛い記憶、思い出したくないのに……。

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