老友新聞2021年5月号に掲載された俳句入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天

弁当の後の楽しみ桜餅

佐野　磯雄

弁当は単に食欲を満たすだけでなく、息抜きにもなり、楽しみなものです。その弁当にご飯とおかずだけでなく桜餅が入っているなんて嬉しい限りです。午前中の疲れを癒してくれそうな優しい色も愛でつつ口にしたでしょう。

地

遠くから手を振る人よ春の風

王田　佗介

作者には手を振る人が誰か判らないのでしょう。遠いせいでもありますが、春風がその顔をぼんやりさせているようです。ハッキリ見えないもどかしさを感じながら心地良い風に吹かれています。

人

坂下りてまた振り仰ぐ桜かな

五木田　時子

再び見たくなる見事な美しさの桜だったのです。中七の表現が巧みで、作者が立つ位置と桜との距離感がよくわかります。二度目に見た桜は最初とは違う趣きだったと思います。