老友新聞2024年12月号に掲載された俳句入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天

冷房を止めて眠れる風を待つ

王田　佗介

今年の夏の暑さは格別でした。夜も冷房が要る日が続きました。ようやくそんな日々も終わる頃でしょう。窓からの風を待って眠りにつく様子、やはり冷房より自然の風が何よりなのです。

地

秋の野や夢の中では走りだす。

佐野　智津子

走りたくても走れなかった野原ですが、夢に出てきたときは走れたのです。夢では日頃出来ないことも叶ったりします。この喜びは夢が覚めた後も続いています。

人

酒蔵に水汲む列や秋の昼

小柴　一子

日本酒は水がその味を決める重要な要素になりますが、この酒蔵はその大切な水を汲ませてくれるようです。列の前方にある澄んだ水や、静かに並ぶ人の光景に秋の昼の風情を感じます。