老友新聞2023年10月号に掲載された俳句入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天

新涼や松をぬけゆく風の音

倉澤　登美子

新涼の涼しさは夏の暑さの中の涼しさとは違うおもむきがあります。松の木を抜けてくる微かな風音は秋が来ていることを教えてくれる爽快な涼しさです。

地

だらだらと一日すぎる酷暑かな

稲田　知司

体温を超える気温が続いた今年の暑さは格別でした。何もする気がせずただ時間が過ぎるままに日を送った人が多かったと思います。この酷暑をしのいだ人の実感です。

人

秋きざす名もなき草へ昨夜の雨

田原　きよ子

名も無いような言わば雑草にも季節は同じように巡ります。昨夜の雨が人々にそして草木に優劣なく秋を連れて来てくれたのです。