趣味
2021年03月22日
「雪の故郷老いたる母を みんなが案じてする電話」2021年3月入選作品|老友都々逸
老友新聞2021年3月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
雪の故郷(ふるさと) 老いたる母を
みんなが案じて する電話
惣野代 英子
それぞれに世帯を持ち、それぞれの土地で暮らしては居ますが、雪国に住む母上を案じていますね。
地の位
今日の始まり おいしいお茶で
いつもありがと お嫁さん!
冨田 いつ子
お孫さんのお嫁さんでしょうか。結句の呼び掛けがとてもいい。外に向けては「うちのお嫁ちゃん…」と言っているのかも…。
人の位
道を歩けば カラフルマスク
マスクがファッションショウになる
鈴村 三保子
自家製のマスクの似合う方も多いようですね。
十 客
出合いがしらに 車と私
一歩さがって 手信号
菊地 幸子
「手信号」という言葉があるのですね。表現力のある用語ですね。
行司軍配 固唾をのんで
形特技は 肩透かし
高木 まつ
大相撲の物言いでのスローモーションによる場面でしょうか。
テレビの初まり 街頭テレビ
上野公園 人の波
天野 照華
テレビ放送の初期。確かに街頭テレビや街頭討論会などがありましたね(遠い昔…)。
大笑い いつも楽しいデイケアで
ハックション入れ歯がとんでった
岡本 政子
五字冠(かむ)りの「大笑い」が単なる説明ではない点に注目したい。二句目がきちんと七音であると一層よくなります。
習いましたネ お金を掛けて
チャンス無かった 英会話
山田 浩司
ジープに乗った駐留米軍が…。私はまだ小学生低学年で「ギブミー~」と、さもしい手を出して居ました。「向う通るはジープじゃないか見ても軽そなハンドル捌き…」(ニュー東京ソング)。
誰も来ないで 一年すぎた
かわりの物が つぎつぎと
藤本 洋子
お身内(人間)は誰も来ず、代わりに物だけが届いてくる寂しさ。判りますね(リズム、再考されたし)。
やがて抱けるよ 娘の嬰児
ビデオカメラを 買って待つ
王田 佗介
「嬰児」は「みどりご」ですが、口語を主とする都々逸には不向き。「子供」か「こども」が良いでしょうね。
曾孫八人 揃ってまぶし
越した背丈に お年玉
大石 志津江
今回は曾孫さんへのお年玉の作が沢山ありました。
古代紫 振袖映えて
夫にも見せたい 晴れ姿
手銭 美也子
ご自身でお召しになったのでしょうか。それともお孫・曾孫さんの成人式姿?「夫」を「ツマ」と文語風に詠ませることは都々逸では禁じ手の一つですから「も」を取って「夫に(あなたに)」としましょう。
逝くはちっとも 辛くはないが
おまえと別れはまだ辛い
黒木 弘
こんな程度の言葉で不倫をしていても奥さんは騙されませんぞ。
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