趣味
2020年10月09日
「何かを拗ねてる コロナが嫌か 惚れているなら 会いに来い」2020年10月入選作品|老友都々逸
老友新聞2020年10月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
何かを拗ねてる コロナが嫌か
惚れているなら 会いに来い
福田 浩明
お相手に向かって、拗ねてないで会いに来い、と促していますが、案外嫌われているのかも……。
地の位
麦茶ドクダミ カルピス ミルク
犇(ひし)めき合ってる 冷蔵庫
櫓木 香代子
いざ、という時の備えに。コロナ禍の今年、新しい冷蔵庫を別に一台お買いの御家庭もおあり、とか。
人の位
コロナコロナで 自粛の日々も
スーパー開店 有難い
鈴村 三保子
率直な主婦の感想。日本という国への感謝ですね。
十 客
昼寝目覚めて だあれも居ない
入るそよ風 夏座敷
王田 佗介
季語にもある「昼寝覚め」の感覚。穏やかな暮らし振りが襖、障子を取り外した夏座敷に窺えて平和。
マスク姿の 方丈さんに
佛も頷く 初の盆
手銭 美也子
佛さまもお許しの新盆(あらぼん・初盆)のマスクも今年なればこそですね。
山が万歳しているような
新緑沸き立つ中にいる
向井 智恵子
新緑の山を「山の万歳」と捉える心こそお元気。
忘れられない 両親共に
敗戦 玉音 蝉時雨
高木 まつ
私も集団疎開先の旅館の中庭で小学生として、聞きとれぬラジオに耳を傾けました。蝉時雨の響く暑い暑い日でしたね。
けんかするけど 仲良く二人
達者で金婚 通過点
鈴木 曻
結婚五十年。偕老同穴のお二人にとって正に通過点に過ぎませんね。
ひとめ惚れした 稲穂も実り
心 貴方に ささにしき
惣野代 英子
ひとめ惚れ、ささにしき、共に宮城県誕生。掛け調の手法を上手に使ってお米の銘柄で慕情を詠みましたね。
雨の紫陽花 滴る色香
古寺をめぐって 離れ宿
菊地 幸子
古寺巡りに雨の紫陽花や離れ、と艶っぽく仕立ててお若い。
コロナ流行れば 傘屋がもてる
そんなことわざ出来るかも
岸 慶子
春風が吹けば桶屋が儲かる、の類。原因から結果にたどり着くまで大変。その距離をソーシャルディスタンスと言うのだそうですね。
怖いコロナと言ってもみんな
お出掛けマスクの花盛り
鈴木 とく
「GOTOトラベル」で煽られ、「外出自粛」で止められ……。
送る言葉が 美しければ
返る言葉も 美しい
黒木 弘
正にその通り。
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