趣味
2020年01月16日
「令和宣言 世界に知らす 天も祝って 見せる虹」2020年1月入選作品|老友都々逸
老友新聞2020年1月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
令和宣言 世界に知らす
天も祝って 見せる虹
鈴村 三保子
天皇御一家のことと思いながらも、憲法上の象徴などを考えつつ、私もテレビを視つづけた一人です。世界に知らす意味があったのですね。
地の位
どこへいくのか一直線に
猫の足跡 雪の朝
岸 慶子
「恋猫」は春の季語ですが歳時記などの「さかりのついた猫」とだけの記述が気に入りませんね。この作の「一直線」に在る一図さも拾ってやりたい気がします。
人の位
神在月(かみありづき)だよ 御出でよ おいで
神楽太鼓の 響く杜(もり)
手銭 美也子
11月は他所では神無月(かんなづき)ですが、出雲では全ての神様が集まって来るので神在月(かみありづき)なのです。神楽太鼓も「御出(おい)でよおいで」と響くのですね。
十 客
柚子の香りに 故郷を偲ぶ
母は達者か 冬至風呂
飛田 芳野
冬至の柚子湯に浸って遠い故郷を偲ぶ豊かな心の時間。人はそれぞれの地で幸せを掴んで生きるのですね。
深山竜胆(りんどう) 百本挿(さ)し木
青いお空と 競い合う
櫓木 香代子
ご自分の深山竜胆の花の色を青空と競わせる心が、百本もの挿し木をなされる原動力なのですね。
歳にさからい 庭木の手入れ
無理はやめなと 曲る腰
橋本 くにお
腰に意見をされて、気合いと見栄が後ずさりしましたか。「曲る」を「まがる」と読むか「まげる」と読むかで歌意が異なるので御注意。
慕う姉様 近況だより
元気印(じるし)を 文字に見る
冨田 いつ子
いくつになっても仲の良い姉妹は心暖まります。
隣屋敷の 鼾(いびき)の音は
野辺の風より なお荒い
黒木 弘
屋敷も年期が入ると鼾をかくようになるのですね。
八十路過ぎても まだ夢つきぬ
大器晩成 驀地(まっしぐら)
鈴木 曻
驀地(まっしぐら)という字と読みを教えてくださり有難うございました。
映画館あと 更地となって
里の青春 消えて行く
向井 智恵子
テレビが始まる前は、情報の総てが映画。ことに外国映画。デートという言葉もアベックだった頃のデートも、映画館でしたね。
蒔いた大根 すくすく育つ
嫁の手料理 晩の膳
高木 まつ
優しく尽くしてくれる働き者のお嫁さんに心から感謝。
今日は大降りどこへも行けず
車庫で待ってるセニアカー
仲野 まつ乃
セニアカーとは電動車(くるま)イスのこと。シニアカーとの違いもありますが某社の宣伝になるのでここでは控えます。
あんた若いね 空ほめなのに
なにかうれしい九十二歳(きゅうじゅうに)
岡本 政子
「空(から)ほめ」は口先だけでほめることですが、気持もお姿も本当にお若い作者なのでしょうね。
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