趣味
2016年04月03日
2016年4月入選作品|老友都々逸
天の位
降っても降っても止む事知らず
北の果てにも日が欲しい
葛西 ヤヨヒ
下(しも)の句が胸を打つ。愛・夢・命…など他にも多くの手にしたいものを日(・)の一語に凝縮(ぎょうしゅく)したことで歌の率直な力を得た。
地の位
妣の面影絣のもんぺ
上寿祝った梅日和
手銭 美也子
妣(はは)(亡くなった母上)も上寿(じょうじゅ)(百歳)も普段はほぼ耳目にしない言葉だが芽出度い限りである。絣(かすり)のもんぺが時代を感じさせて何とも言えない愛らしさ。
人の位
どこか知らない遠くの町で
どこか知らない遠くの町で
福田 浩明
ふっくらとふくらんだ月への幻想。上(かみ)の句のような曖昧な表現はあまり好まないが、こんな感じの月が春の宵にはあるものだ。
十 客
背中まるめて爪切る老いを
猫が見ている春の縁
王田 佗介
永らへいるのは済まないけれど
三度三度がうまい飯
仲野 まつ乃
甘くみていて雪国育ち
重いシャベルに齢を知る
平岩 静
元気はつらつ若さがほしい
天突き運動5分間
山田 浩司
折れて垂れてる紅梅だけど
生きてる証(あかし)の芽を付ける
岩崎 ますゑ
俺が多いぞ私が多いく
薬数えて笑い合う
向井 智恵子
おなか空かせた子の貧困に
明暗分けてる寒い春
大西 和子
アンチエイジとしみしわ美白
電話のお人を見てみたい
鈴木 智世
愛の手料理女房のお酌
酒は明日へのエネルギー
惣野代 英子
琴の音色に散る梅の花
赤い野点の傘に舞う
飛田 芳野
この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。
- 今注目の記事!