趣味
2019年10月18日
「母はお客の 接待ばかり それで嬉しい 秋祭り」2019年10月入選作品|老友都々逸
老友新聞2019年10月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
母はお客の 接待ばかり
それで嬉しい 秋祭り
飛田 芳野
純粋に、ただただ嬉しいのです。
地の位
レシピ通りに やったら出来た
一人ぐらしの ゆでタマゴ
山田 浩司
「ゆで卵」にレシピは不要かとも思いましたが、歌調の佗びしさにひかれます。
人の位
人目引くよな 色気はないが
粋な浴衣の 夏祭り
惣野代 英子
いいえ、作者の心意気が夏を際立たせた筈です。
十 客
勝つと信じて 両親共に
八月終戦 蝉時雨
高木 まつ
国土決戦になっても勝つと思っていました。玉音放送は蝉時雨の中での国民皆の大涙でした。
老いの楽しみ 都々逸捻(ひね)る
拙(つたな)い語句(ことば)で 仲間入り
冨田 いつ子
都々逸作りが生活の一部になられたご様子。
大正生れが 戦時を越して
令和時代に 福を呼ぶ
岩崎 ますゑ
明治・大正・昭和・平成・令和。元号は天皇家のことでありながら我々庶民は泣き笑いの中で、命がけで、愉快に暮らしてきましたね。
今日は くもり日 緑の風で
エヤコンつけずで 心地よし
勝亦 はる江
「エアコン」でなく「エヤコン」が嬉しい。
人工透析 通院バスの
患者和ます 運転手
王田 佗介
乗客も運転手さんも苦労人なのですね。
生きているのも しんどいけれど
死ねと言われりゃ 腹が立つ
鈴木 とく
全くその通り。他人(ひと)に言われりゃ腹が立つことってずい分ありますね。
みの虫集めて 作ったバッグ
懐かし思い出 昭和の代
鈴村 三保子
「みの虫バッグ」を見たことが無いので直感で。女の子が大人の持ち物に憧れて作ったママ事遊びの延長か、とも思いまとましたが…。全く的外れで「みの虫バッグ」は超高級品なのかしら…?それにしても「みの虫バッグ」とは素晴しい!
ポニーと戯れ 遊んだ孫も
曾孫五人の 親となる
黒木 弘
ポニーは肩まで147センチの小格馬。身近にポニーの居る風景に四世代の生活があったのですね。スゴイ!
真夏 風邪ひき 茣蓙敷き伏せた
読む気 書く気も 起こらぬ気
大石 志津江
(お大事に)結句を態(わざ)と「起こらない」にせず「起こらぬ気」にしましたね。
つの字 くの字の きゅうりを並べ
味はいいよと 友自慢
向井 智恵子
胡瓜の形容に丁度合う平仮名の「つ」と「く」を見つけてくれて感謝しています。
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