老友新聞2017年10月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天の位

届く新米頂く感謝
親の苦労がしみる秋

惣野代　英子

わざわざ、荷造りして宛名を書いての実家からの心が嬉しく有難い。

地の位

姉妹兄弟父母まで入れて
長所短所の数え歌

櫓木　香代子

身内だから知っている性格や才能などを折り込んで数え歌にしてみた。（楽しい歌になりました）と作者の添え書きに披露する場面を想像させます。

人の位

築地豊洲と話題になった
河岸のルーツは日本橋

山田　浩司

天秤棒を担いだ棒手振（ぼてふ）りがこちら側へ渡って来る有名な絵があります。前の東京オリンピックに日本橋の上に通した高速道路を、こんどのオリンピック迄に外す計画のようです。

十　客

何度拭いてもおんなじ鏡
老いた顔しか映らない

黒木　弘

野菜が伸びてる菜園想う
収穫できない雨続き

勝亦　はる江

酒に煙草に女と賭博
母と約束百年目

横山　一雄

愚痴の連打を百回聞いて
微動だにせぬ猫の耳

大西　和子

駅のホームで手を振る祖父母
車窓にベソかく孫の顔

鈴村　三保子

唄にはまったおかげで呆けず
今日も笑いの輪に入る

岩崎　ますゑ

今朝も嬉しい籠満杯に
穫れた野菜の顔の艶

手銭　美也子

村の祭のアラエッサッサー
泥鰌すくいで盛り上る

岡本　政子

親の話に聞く耳持たず
天下晴れての披露宴

飛田　芳野

故郷はなれて七十余年
幼なじみの友の顔

高木　まつ