コラム
シニアのためのマネー講座 | 麻生 直人 税理士
2017年07月07日
法人化した場合、個人事業よりもかかる費用|個人と法人どちらが得?会社設立のメリット④
前回まで3回に分けて会社設立のメリットを解説しましたが、一方のデメリットにも留意が必要です。
設立費用・申告費用等のコスト負担
会社を設立するには法人登記をすることになりますので、登記に係る登録免許税や資本金等を用意しなくてはなりません。また、税務申告も煩雑となり、税理士のアドバイスが必要となるため、管理コストが増えることが予想されます。
社会保険への加入義務
会社は1人の常勤者がいれば、社会保険の強制適用事業所となります。すなわち、社長一人のみの会社でも社会保険の加入義務があります。
一方、個人事業の場合は強制適用に該当する事業を行っている場合でも5人以上の常勤者がいる場合でなければ強制適用事業所にはなりません。すなわち4人以下の場合は、社会保険の加入は任意となっています。
社会保険の加入事業所は従業員の定着率がよくなる傾向にあることなど、一概にデメリットとは言えませんが、やはり会社が保険料の半分を負担するので、社会保険料の負担は重いと感じる経営者が多いようです。
赤字であっても生じる納税
個人事業では赤字であれば所得税、住民税、事業税の納税が生じることはありませんが、会社は赤字であっても法人住民税の均等割の納税が必要となります。均等割は、資本金等の額や従業員数に応じて税額が決まっており、自治体により若干の差がありますが、資本金等の金額が1,000万円以下で従業員数が50人以下の場合は、概ね7万円となります。
以上、4回に分けて解説した会社設立のメリット・デメリットを参考にしていただき、会社を設立して事業を運営するべきか、それとも個人事業として始める方が良いのかを検討してください。
個人と法人どちらが得?会社設立のメリット【全4回のまとめ】
メリット
- 給与所得控除の利用による節税
- 退職金を支払うことによる節税
- 家族への給与支払による所得分散
- 社会的な信用力
デメリット
- 設立費用・申告費用等のコスト負担
- 社会保険への加入義務
- 赤字であっても生じる納税
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