コラム
シニアのためのマネー講座 | 麻生 直人 税理士
自分に退職金?!ともに働く家族にも|個人と法人どちらが得?会社設立のメリット②
退職金の準備で不安を解消
シニアの方にとって起業するメリットは、年齢を重ねても定年もなく、仕事を続けていけることではないでしょうか。しかし長く働ける魅力はあっても、体力面や突然の病気など、いつまでも現役を続けていけるか不安もあるでしょう。
そこで、万が一のことを考えて、今あるお金を将来のために積み立てて退職金を準備することで、起業のデメリットを解消することができると思います。同様にともに働いてくれる家族従業員がいれば、退職金を渡したいという方も多いはずです。
そこで今回は、退職金という観点から個人事業と法人では、どちらが得かを参考にしていただければと思います。
退職金を支払うことによる節税
個人事業の場合、事業主や家族従業員に退職金を支払っても必要経費にはなりません。
しかしながら、会社を設立して事業運営した場合には、役員や家族従業員に退職金を支払うことが可能となり、適正額であれば会社の損金となります。
会社の損金となるということは、個人として多額の所得税が課税されるのではと心配されるかもしれませんが、退職金の一時支給に係る税金には退職所得控除という大きな控除額が設定されているため、控除額が支給額より多い場合には税金がかかりません。
また、支給額が控除額を超える場合であっても、それに2分の1を乗じて税額を計算する優遇措置がありますので、以下のように計算します。
退職所得控除額は、その勤続年数に応じ、[図表1]のように計算します。
ただし、その退職が障害者になったことに直接基因する場合には、[図表1]の金額に100万円を加算します。なお、勤続年数の計算上、1年未満の端数が生じた時は、これを1年として計算します。
[図表1]退職所得控除額
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
下記[図表2]は、退職所得控除額の早見表です。退職金がそれぞれの勤続年数に応じた控除額以下の場合は、税金はゼロとなります。
[図表2]退職所得控除額早見表
勤続年数 | 退職所得控除額 | |
---|---|---|
一般退職の場合 | 障害退職の場合 | |
2年以下 | 80万円 | 180万円 |
2年超20年以下 | 40万円×勤続年数 | 40万円×勤続年数+100万円 |
21年 | 870万円 | 970万円 |
22年 | 940万円 | 1,040万円 |
23年 | 1,010万円 | 1,110万円 |
24年 | 1,080万円 | 1,180万円 |
25年 | 1,150万円 | 1,250万円 |
26年 | 1,220万円 | 1,320万円 |
27年 | 1,290万円 | 1,390万円 |
28年 | 1,360万円 | 1,460万円 |
29年 | 1,430万円 | 1,530万円 |
30年 | 1,500万円 | 1,600万円 |
31年 | 1,570万円 | 1,670万円 |
32年 | 1,640万円 | 1,740万円 |
33年 | 1,710万円 | 1,810万円 |
34年 | 1,780万円 | 1,880万円 |
35年 | 1,850万円 | 1,950万円 |
36年 | 1,920万円 | 2,020万円 |
37年 | 1,990万円 | 2,090万円 |
38年 | 2,060万円 | 2,160万円 |
39年 | 2,130万円 | 2,230万円 |
40年 | 2,200万円 | 2,300万円 |
41年以上 | 2,200万円 +70万円×(勤続年数-40年) |
2,300万円 +70万円×(勤続年数-40年) |
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