コラム
日本のクールビズはまだまだ発展途上!センス良いアロハ着ませんか?<市田ひろみ連載5>
7月に入ってからの京都は、毎日むしあつく、きものぐらしの私はつらい思いだ。それでも
「きものはよろしいなあ」
「先生がきもの着たはったら、あつくるしいようには見えまんなあ」
などと持ちあげられると、夏のきものも風情があるしええもんやと、内心納得して、の毎日だ。
ころもがえで言うと、7月8月は、うすものを着る。絽・紗・麻だ。
私は麻が好きで、正・礼装の絽や紗は、たまに着ることはあっても、たいていは麻だ。
7月1日の祇園祭の吉符入りから1か月、京の町は祭に明け祭に暮れる。
7月1日から33基の鉾立てがはじまると、中京は交通規制や通行止めなどあって、ぶつぶつ言いながらも祭気分だ。
ところで、ゆかたも4~5枚あるが、今年は新しいのを作ろうと思って、問屋を訪ねた。
何といっても木綿の本藍のしぼり。もう目標は決まっている。
目標を目ざし、何軒かまわったが、京都は祇園祭、大文字でゆかたが売れる。
「1万円、2万円のゆかたがよう売れます。勿論、洗濯機で洗えまっさかい」
なる程、デパートのゆかた売り場は、2千枚、3千枚のゆかたが並び、伝統柄から古典柄まで、素材を問わねば、デザインも色も素晴らしい。
このところ、半巾帯より兵子帯が多いそうだ。
私も自分のNHKの「おしゃれ工房」で帯結びを紹介したが、半巾帯はむつかしいかもしれないが兵子帯はやさしい。
胴に二巻して、前で蝶結び、後ろへまわす。最後に前板を入れれば出来上がりだ。
ところで、私の目標のゆかたは、やっと1枚見つかった。木綿・本藍・絞り。27~28万の本藍のゆかたは、本藍の証しで今、考え中。まさつに弱いので、見立てている掌も藍の色がつく。
さて、どうしようか。
ところで、クールビズを言いながら、日本人男性の背広姿は簡略化されないのか。
1868年、148人の日本人移民がホノルルへ渡った。
彼等は亜熱帯に、きものという苦痛をさけて、自分たちのきものをほどいて、シャツを作った。これがアロハの始まりで、現在は毎週金曜日、アロハフライデーを実行している。正装としても着用出来るようになった。
また、1778年、キャプテンクックがポリネシアを訪れた時も、島民はこしみのだった。そこで島民達にかんたんな服を宣教師達が着用させた。これがムームー。初期のデザインはミッショナリー(宣教師)ムームーとよばれている。
ムームーも日常着、パーティー、結婚式、葬式など、5~6枚あれば事たりる。
フィリピンも湿度が高いが男子のシャツは植物繊維のバロンタガログを着用し、勿論、正装として着用されている。
日本政府も、クールビズと言いながら、依然として背広だが……。
冷房完備ならともかく、日本の夏に熱中症対策としては、まず背広追放で、実際、実行する人が出てこないと、クールビズはいまのままでは効果がうすい。
首相のクールビズも、もっとセンスの良いおしゃれなアロハを着用してほしいものだ。
日本の夏に、涼しげな感性を求めるのは無理だろうか。
真夏の背広のサラリーマンに、私は同情しつつ、つぶやいているが、これからも変わらないのかな。
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- 市田 ひろみ
- 服飾評論家
重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。
書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。
テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。
二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。
現在、京都市観光協会副会長を務める。
テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。
著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。
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