コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
2021年08月11日
「これ以上の人為的問題なく無事開催」を祈るほかなかった東京五輪
7月23日、数えきれないほどの物議を醸した東京オリンピックが開幕した。
今年になって組織委員会会長が女性蔑視発言で辞任。続けて開会式の音楽担当者が、過去の障害者に対する暴行と言えるひどい行為を自慢気に語っていた発言に抗議が集まり辞任。開会式での女性蔑視のような演出計画で辞任したCMディレクターに代わって担当者となった演出家が、過去にナチスのユダヤ人虐殺をネタにしたお笑いを演じていたことが発覚して辞任。
東京五輪は、日本人として恥ずかしい事件が続出するなかでの開幕となった。
思い返せば五輪招致決定当時から、当時の安倍総理が福島原発事故の状況を、緊急事態宣言が解除されないまま「アンダーコントロール」と発言して以来、数えきれないほどの「うそと問題」の連続だった。
エンブレムの盗作疑惑に、建設費が高くなりすぎた国立競技場のコンペのやり直し。招致委員会副会長のIOC関係者買収疑惑……等々、どれ一つ取っても政府関係者(五輪担当大臣)か組織委会長の辞任と組織の刷新が即刻必要と思われる大事件だった。
が、誰一人として積極的に責任を取る人物が現れないなか、開幕を間近に控えての辞任の連続というドタバタ劇になってしまった。
おまけに開会式では、天皇陛下の開会宣言に対して、臨席していた菅総理がお言葉が始まってから遅れて(慌てて?)起立する失態も……。さらに今大会日本人初の金メダルを獲得した柔道の高藤選手に対して、菅総理のお祝いの電話はメモを読みながら……。
五輪関係者の新型コロナ感染者が次々と発覚し、猛烈な酷暑の上に台風にまで見舞われた大会。せめてこれ以上の人為的失敗だけは避けてほしいと祈るだけだった。
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